ぶら~りネット探訪

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『やけっぱちのマリア』を読んだ

ちょっと前に映画『空気人形』を見ました。ネットでの『空気人形』の評判はどんな感かと、2ちゃんの『空気人形』のスレを見ていたら「『空気人形』は『やけっぱちのマリア』のパクリ」というレスがあり、『やけっぱちのマリア』はどんなものかと読んでみました。手塚治虫が描いた性教育漫画ということでこの漫画のタイトルは以前から知っていました。 父子家庭に育ったヤケッパチこと焼野矢八(男子中学生)の妊娠騒動から物語が始まります。ヤケッパチの体からエクトプラズムが現れ、そのエクトプラズムをヤケッパチの父親の作ったダッチワイフにエクトプラズムを乗り移らせることでマリアが誕生?します。 ダッチワイフにある日、突然心を持つという『空気人形』とは基本設定がかなり違います。また、『やけっぱちのマリア」は基本的に学園モノというところも『空気人形』とは異なります。カゲロウの成虫は2~3日しか生きられず、胃も腸もからっぽだけど生殖器だけはしっかりあるという話はなぜか『やけっぱちのマリア』と『空気人形」にも出てきます。 1970年に書かれた漫画なので、さすがに古さを感じさせる部分も多いのですが、全体的な話の流れはかなり荒唐無稽でアナーキーな感じがします。そして、性教育を目的にした漫画ということなので生殖や性愛についての詳細な説明が唐突に挟まったりします。この生殖や性愛についての説明もなかなか面白いものに仕上がっています。 ウキペディアによると1970年8月27日、この作品を掲載したことで『週刊少年チャンピオン』1970年8月23日号が福岡県児童福祉審議会から有害図書の指定を受けたそうです。今の感覚ではどこが有害なのかと理解に苦しみます。確かに裸のシーンはけっこう多いのですが、手塚治虫の絵なので全く生々しさは感じません。私はセックスに関する描写よりも暴力に関する描写の方が気になりました。ヤケッパチもマリアもとにかくやたらと「たてよこの会」(ヤケッパチの学園を支配するグループ)やその他のキャラとケンカをします。 ヤケッパチとマリアの仲を裂こうとする「たてよこの会」の雪杉みどりというキャラは『愛のむきだし』の安藤サクラが演じていたコイケにちょっと似ている感じがしました。雪杉みどりは「たてよこ会」のボスという役どころです。「たてよこ会」というのはひょっとして三島由紀夫の「楯の会」のパロディなのでしょうか?三島由紀夫が自決したのは、この漫画連載されていた1970年。この年はよど号ハイジャック事件も同じ年に起こっています。初めてマリアが登校すると生徒や教師がぞろぞろ集まってくるシーンがあるのですが、ヤケッパチは「よど号の乗客じゃあるまいし」と言うセリフを喋っています。 設定や途中の展開にかなり強引な部分もありますが、最後はかなりジーンきます。さすがは手塚治虫だと思います。ラララの娘(手塚るみ子)の解説もよかったですね。ちなみに手塚るみ子は先週の週刊文春阿川佐和子の対談に出ていました。言われている通り、ピノコに似ていました。 やけっぱちのマリア (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)
やけっぱちのマリア (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)