ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演の『PERFECT DAYS』を見ました。
ヴィム・ヴェンダースの映画を見るのは初めてになります。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のCDは聞いたことがあります。
役所広司がトイレ掃除をしたり、銭湯に入ったり、浅草の地下街で食事をしたりするのを眺める映画でした。
役所広司が掃除するトイレは渋谷区に実在する公衆トイレで代々木八幡のトイレには行ったことがあります。鍋島松濤公園はトイレが新しくなる前に行ったことがあります。
日本映画を見ていて知っている場所が写っているということはあまりありません。是枝裕和の『空気人形」で今はなくなってしまった三軒茶屋の映画館が出てくるのくらいしか思い浮かびません。アニメだと新海誠や細田守などの作品で見たことのある風景がよく出てきます。最近見た『窓ぎわのトットちゃん』には九品仏の浄真寺や碑文谷の辺りが出てきました。80年くらい前の話しでアニメなのですがなぜか気がつきました。
役所広司演じる平山は仕事に使っている軽トラの中でカセットテープで音楽を聞いているのですが、選曲が渋すぎて眠たくなりました。アニマルズの『朝日のあたる家』、ルー・リードの『パーフェクト・デイ』やオーティス・レディングの『ドック・オブ・ベイ」は知っていましたが、パティ・スミスやヴァン・モリソンは名前は知っていますが音を聞いたのはこの映画が初めてでした。ヴァン・モリソンはピーター・バラカンが好きなイメージがあってアレです。金延幸子は大瀧詠一がプロデュースした『時にまかせて』は聞いたことがあります。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のサントラに入っているような曲が好みです。
平山が通っているスナックの女将(石川さゆり)が客(あがた森魚)のギターで『朝日のあたる家』を少しだけ歌うシーンがありました。余談ですが石川さゆりの『X -Cross II-』というアルバムには何曲か椎名林檎が楽曲提供をしていました。
平山の姪のニコを演じていた中野有紗はJPRS のCM 「インターネットでできること」にも出ているのを見たことがあります。JPRS のCM で中野有紗は無表示でパラパラを踊っていたのが凄く印象的だったのですが『PERFECT DAYS』では普通に色々な表示を見せていたので、後で同一人物と知って驚きました。
平山が通う古本屋の店主が犬山イヌコで、石川さゆりのスナックの客にはあがた森魚の他にはモロ師岡がいました。この辺のキャスティングに微妙なものを感じました。ヴィム・ヴェンダースは犬山イヌコやあがた森魚の演技に注文をつけたりしたのかが気になりました。
ヴィム・ヴェンダースは小津安二郎を尊敬していて、この映画は小津安二郎へのトリビュート、オマージュのようなものなのでしょう。この映画を見る前にEテレで放送された小津安二郎のドキュメンタリーにもヴィム・ヴェンダースは出演していました。このドキュメンタリーで面白かったのは小津安二郎と山中貞雄の関係についての部分でした。ヴィム・ヴェンダースには今度『人情紙風船』みたいな映画も撮ってもらいたいですね。