是枝裕和監督、ペ・ドゥナ主演の『空気人形』を見ました。『愛のむきだし』と2本立てでした。板尾創路と岩松了は『愛のむきだし』にも出ていたのでちょっと妙な気分でした。特に岩松了は『愛のむきだし』ではAVメーカーの社長で『空気人形』ではレンタルビデオ屋の店長というのが絶妙でした。
原作は業田良家の『ゴーダ哲学堂 空気人形』という漫画だそうです。空気人形、ようするにダッチワイフが心を持って、動き回るというお話。単純なファンタジーなのかと思ったら、そうでもない感じでした。R-15指定になっているので性描写は多めです。ペ・ドゥナは足が長くてスタイルが非常に良いのですがオッパイは小さめです。お尻の形も良いのですが最初の方しか映らなかったのが残念でした。
空気人形が心を持って勝手に動き出す前半は「空気人形」と言うより「着せ替え人形」と言う感じでペ・ドゥナは色々な格好をしています。ポスターではメイド服ですがメイド服は最初の方しか着ていません。
心を持ってしまった空気人形の悲しみみたいなのは、まぁいいのですが、空気人形の周辺の人々の物語が私はどうもいただけない感じがしました。フィギュア萌な青年や汚部屋に住み摂食障害を患っている女性(星野真里だったようですが見ている時には気がつきませんでした)は現代人の病理を描いているつもりかもしれませが、夕方のニュースの特集されるようなネタ(それも何年前に)のようで、いまさらな感じがしました。
岩松了が「卵かけご飯」食べるシーンが2回あり、1回目は普通に美味しそうに食べて、2回目は卵の殻が入ってしまった事に苛立ち、茶碗をぶん投げるのですが、このシーンはかなりショックでした。岩松了とペ・ドゥナのファックシーンよりもショックでした。この映画はけっこう食べ物を粗末にするシーンがおおかったような気がします。タマフルでやっていたフード理論からする映画の中で食べ物を粗末にするのは悪役と言っていました。
ペ・ドゥナが自分の生まれた場所、ダッチワイフの会社に出かけて行き、造形師役のオダギリジョーに会うシーンは不思議な感じがしました。何だか『ブレード・ランナー』を思い出しました。ぺ・ドゥナはオダギリジョーに「いつまで生きられるのか?」を聞きに行ったわけではなく「何で心をもってしまったのか?」を聞きに行ったようでした。オダギリジョーはペ・ドゥナに殺されることはありませんでした。
どうでもいい話ですが、オダギリジョーと岩松了というと『時効警察』を思い出します。まぁ、この映画ではオダギリジョーと岩松了が絡むシーンはないのですが。
ちなみにペ・ドゥナとARATAが行く映画館は三軒茶屋中央劇場でした。実在する映画館です。確かこの映画館で『空気人形』もかかっていた気がします。
中盤以降の展開や空気人形以外の登場人物のエピソードを整理し方が良かったような気がしました。ちょっと残念な映画と言うのが正直な感想です。
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