ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

『レスラー』を見た

ダーレン・アロノフスキー監督、ミッキー・ローク主演の『レスラー』を見ました。

宇多丸さんの『シネマ・レスラー(ハスラー)』でも好評でした。町山智浩さんも『コラムの花道』で紹介していて、絶賛していました。

私は以前はどちらかと言うと、プロレスの味方でした。金曜午後8時を心待ちにしたり、地元にプロレスの興業が来れば見にいったり、後楽園ホールに行ったりもしたことがありました。いわゆる「昭和プロレス」のファンでした。

ミスター高橋の暴露本『流血の魔術 最強の演技 すべてのプロレスはショーである』も読みました。それよりも前に佐山聡の『ケーフェイ』なんて本もありましたね。

この映画、色々と見どころはありますが、やはりプロレスの試合のシーンが非常に丁寧に描かれているところがいいですね。ランディの入場シーンで観客にパイプ椅子を差し出されて、自分の頭をパイプ椅子で殴るシーンや場外乱闘で観客が自分の義足をランディに渡すシーンは笑えました。オープニングでランディの過去の栄光が新聞や雑誌の誌面を使って描かれるシーンも良かったですね。

タマフル」のポッドキャストで橋本プロデューサーがリングの大きさが普通のものよりも小さく見えたと言っていましたが、確かにリングは小さく見えました。ミッキー・ロークラリアットがちょっと「しょっぱく」見えたとも言っていましたが、ミッキー・ロークの技術の問題もあると思いますがリングの大きさも影響しているような気もします。

最後の試合の対戦相手がアヤトラーがイラン人というギミックも良かったですね。本当はイランとは全く関係ない普通のアメリカ人でプロレスを引退して中古車販売業で成功しているという設定も良かったです。

この映画を見ているとプロレスはある程度の技術も必要ですが、やはりそれなりのギミックがあってこそのエンターティメントなんだと思いました。

ミッキー・ロークマリサ・トメイが飲み屋でビールを飲みながら、音楽について話すシーンで80年代のモトリ・クルーやデフ・レパードガンズ・アンド・ローゼズは最高だったけど90年代になって出てきたニルヴァーナは最悪で、90年代も最悪と言うシーンも良かったですね。私はモトリ・クルーやデフ・レパードは好きじゃありませんが。

最後の試合のランディの入場曲はガンズ・アンド・ローゼズの『Sweet Child O' Mine』でした。あのシーンはグッとくるものがありました。欲を言うと入場前にマリサ・トメイミッキー・ロークを止めに来るシーンと入場シーンはもう少し引っ張った方が良かった気がします。

ランディは本当にダメな奴でとってはリングに立っているときだけが生きていると実感できる時で、リングを下りた現実は辛いというのがたまらないですね。実生活で上手く立ちまわる事ができないためにリングでのプロレスに逃避しているわけですが、プロレスを酒、ギャンブル、セックス、買い物などに入れ替えてみると普通の人にもあてはまるのではないかと思いました。

ランディが命の危険がありながらリングに上がり、試合をするシーンはやはり三沢光晴選手の事故を思い出してしまいました。映画の中のランディは自分が生きていると実感できるため、自分らしさを取り戻すためにリングに上がるわけですが、その先にあるものがの破滅というのは、正直やりきれないものがありますが、緩やかな自殺のような気もして複雑な思いです。エンディングのブルース・スプリングスティーンのテーマ曲はこの映画のために書き下ろされたものだそうです。