ぶら~りネット探訪

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森光子の『人生はロングラン―私の履歴書』を読んだ

女優としては初めて国民栄誉賞を受賞した森光子の『人生はロングラン―私の履歴書』を読んでみました。正直、読む前はそれほど期待していなかったのですが、読んでみたら、けっこう面白い本でした。 私にとって森光子という女優は「お母さん女優」としていのイメージが強いですね。テレビドラマの『時間ですよ』シリーズがまず頭に浮かびます。フジテレビの『3時のあなた』の司会、改編期の『渡る世間は鬼ばかり』のスぺシャルに出てくる感じですね。そして公演回数2000回を超える舞台の『放浪記』。正直、私は森光子についてそれほど知りませんでした。 1920年に京都の割烹旅館「国の家」で森光子は生まれ、嵐寛寿郎の姪(本当は従妹)として映画女優としてデビューしますが、パッとせず、歌手などもしますが前座でなかなか芽が出なかったようです。戦争や結核にかかったりして、『放浪記』で主役に抜擢されたのが41歳のときです。この本は全部で31章あるのですが、『放浪記』の初舞台の話は25章で語られています。下積み時代が非常に長いということには本当に驚きました。 戦後、関西で喜劇女優として活躍し始めたときに女性漫才師のミスワカナと共演しています。ミスワカナの最後の舞台となった西宮球場での演芸家会に向かうハイヤーに森光子は同乗していて、ヒロポンの包を預かったりしています。当時はまだヒロポン(覚せい剤)は合法で、歌手やバンドマンがヒロポンをやっているのはあたりまえな時代だったようです。ミスワカナの死因はヒロポン中毒による心臓麻痺だったそうです。のちにミスワカナの人生を舞台化した『おもろい女』のミスワカナ役を森光子が演じています。 この本でもう一つ驚いたのは森光子が尋常性白斑病という病気にかかっているということです。この病気は先日亡くなったマイケル・ジャクソンさんもかかっていた肌が白くなっていく病気だそうです。第3賞のタイトルが「黒みっちゃん」なっていて、森光子は子供の頃は色が黒かったそうです。 戦後のテレビの登場とともに森光子は大活躍が始まり、テレビと並行して舞台でも『放浪記』や『おもろい女』で成功していくわけですが、森光子の立ち位置が私にはよく分かりません。舞台女優としての代表作が『放浪記』、『おもろい女』で、映画ではめぼしい主演作品はありません。テレビドラマは数は多いけど『時間ですよ』シリーズくらいしか代表作は思い浮かびません。やはり舞台女優ということになるのかな。『放浪記』を2000回以上やり続けたことは凄いです。みうらじゅんの言うところの「キープ・オン」ですな。森光子はある意味ロックなのかもしれません。 人生はロングラン―私の履歴書
人生はロングラン―私の履歴書