ぶら~りネット探訪

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『凶悪』を見た

白石和彌監督、山田孝之主演の『凶悪』を見ました。

実際にあった事件をモチーフにしている点やピエール瀧リリー・フランキーが極悪非道な犯罪者を演じている点など園子温の『冷たい熱帯魚』とかなり近いものを感じました。

山田孝之が演じる藤井は雑誌記者で、ある日上司から東京拘置所に収監されている死刑囚から手紙が届いているので面会に行くようと言われ、渋々、藤井は面会に行く。ピエール瀧が演じる死刑囚の須藤はかつての共犯者である木村(リリー・フランキー)が自分だけ娑婆でノウノウと暮らしているのが許せないので、木村と自分が犯した犯罪を告白するのでそれを記事にするように藤井に依頼する。最初は全く乗り気ではなかった藤井は須藤の証言が間違いでないことを知ると次第に木村と須藤の犯罪を暴くことにのめり込んでいくというお話。

ピエール瀧の凶悪ぶりは映画ではが始まるとすぐにお目見えします。しかし、リリー・フランキーはなかなか出てきません。かなり焦らされた感じで中盤からやっと出てきます。しかも、男のクビをロープで締めあげているシーンで登場です。

リリー・フランキーの原作の『おでんくん』というアニメがNHK教育で放送されていたことがあります。『おでんくん』でピエール瀧ジャガーというジャガイモを擬人化したキャイジメっ子キャラの声をやっていました。ファブリーズのCMや『あまちゃん』、ラジオの『たまむすび』のせいでピエール瀧は最近は面白いオジサン的なキャラになっていますが、ジャガーオールナイトニッポンモグラネグラなどの昔のピエール瀧を知っていると今回のヤクザの役はそんなに驚くようなキャスティングではありませんでした。

しかしリリー・フランキーがはしゃぎながらジジ・ぶぅを暴行するシーンは強烈でした。リリー・フランキーは演技しているのに自然な感じで、素でジジ・ぶぅを楽しそうに痛めつけているようにしか見えませんでした。『モテキ』で森山未來を虐めている時に近い感じがありました。

ちなみにジジ・ぶぅの奥さん役が白川和子でした。山田孝之ピエール瀧リリー・フランキー、白川和子、池脇千鶴以外のキャストはほとんど初めて見る役者ばかりでしたが、主要なキャスト以外の演技や存在感がこの映画の完成度をグッと上げている感じがします。特にリリー・フランキージジ・ぶぅを殺すことを依頼するジジ・ぶぅの家族の微妙な感じが良かったですね。『明潮24』は『新潮45』で『明潮24』の編集長のモデルは中瀬ゆかりです。編集長役の演技はちょっとステレオタイプ感じでした。ピエール瀧の奥さん役の女優さんの生活感や倦怠感は見事な感じでした。

最後に山田孝之ピエール瀧の心の立ち位置が入れ替わっていた所は落語の『らくだ』のよう感じられました。山田孝之池脇千鶴のような普通に暮らしている人の心の中にも凶悪な部分があるという解釈はありきたりすぎてあまり面白くないですね。

凶悪  映画パンフレット 【監  督 】白石和彌 【キャスト】山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴