ぶら~りネット探訪

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『裁判傍聴マガジン』を読んでみた

『裁判傍聴マガジン』を読んでみました。この雑誌は2008年の4月にイーストプレスから出版された雑誌です。表紙の遠山の金さんみたいな立体イラストとA5というサイズが別冊宝島みたいです。 裁判傍聴についての雑誌ということなので、北尾トロ霞っ子クラブ阿曽山大噴火(裁判傍聴界の3大スターだそうです)といった人たちが紙面に登場しています。しかし、北尾トロ阿曽山大噴火のページは以前のエピソードの焼き直し的な感じでした。霞っ子クラブの地方の裁判所ガイドは面白かったですね。 その他のライターや漫画家による裁判や裁判傍聴に関するページも基本的に、裁判傍聴の初心者向けに書かれたような内容で、北尾トロ阿曽山大噴火の本を読んでいる私には物足りなく感じました。有名人19人への裁判員制度に対する緊急アンケートで吉田豪が【もし裁判員に選ばれたら?】という質問に「ボクを裁判員に選んだことを心から後悔させたい」と答えていたのが笑えました。 しかし、『それでもボクはやつてない』の周防正行監督、「起訴休職外務事務官」の佐藤優さんのインタビューや死刑についての森達也の特別寄稿はかなり濃い内容で、この3つだけでもこの雑誌を読む価値はありました。 佐藤優さんは裁判員制度を徴兵制への第一歩と言い、裁判員に選ばれた場合は拒否すると宣言しています。自身の裁判体験から裁判費用が具体的にどの程度かかるとか、国策捜査はどのように行われのか、まそれに対抗する手段についても具体的に語っています。植草一秀さんの2度の逮捕は陰謀あるいは国策捜査ではないかという質問についは、実際に被害者がいる事件なので謀略論的なものは積極的には支持できないと言っています。しかし、権力(検察)はターゲットの金の流れと下半身に注目し、そこから信用失墜させることが常套手段であるとも言っています。 周防正行監督はやはり痴漢冤罪を通して、現在の日本の裁判制度についての疑問を提起しています。インタビューアーの元木昌彦編集長は起訴された裁判の有罪率が99.9㌫という現在の状況は検察側、弁護士にとっても悪循環と語っています。弁護士も有罪は当たり前で、誰にも叱られることはなく、無罪を勝ちとったら名誉という話も大変興味深く感じました。くしくも、今年は痴漢事件に関して最高裁で無罪判決がでたり、つい最近も東京高裁で逆転無罪判決が出たりして流れは変わりつつあるのかもしれません。 森達也の死刑に関する特別寄稿では、オウム事件を踏まえて世界での死刑制度の現状、そして日本の死刑制度について書いています。先進国で死刑制度があるのは日本とアメリカ(州による)だけだそうだ。EUは加盟条件に死刑制度の廃止が入っているそうです。カンボジアもフィリピンも死刑は廃止されているそうだ。森達也は別に世界の趨勢にならって死刑制度を廃止しろとは言っていません。明確な理念と根拠があれば死刑制度を存続させてもいいと言っています。死刑制度の廃止を訴えている亀井静衆議院議員になぜ死刑制度に反対するかと聞いた時に「冤罪事件がいかにおおいかを身を持って知っているから」と即答したそうです。状況証拠のみで死刑が確定した林真須美についてはどう思っているのか聞いてみたい気もする。 裁判傍聴マガジン―日本初! (vol.1(2008Spring)) (East Press Nonfiction Special)
裁判傍聴マガジン―日本初! (vol.1(2008Spring)) (East Press Nonfiction Special)