ぶら~りネット探訪

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『葬式は、要らない』を読んだ

島田裕巳の『葬式は、要らない』を読んでみました。

今年のベストセラーの表の顔は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」ですが、裏の顔はこの本ではないかと勝手に思っています。

島田裕巳と言えばオウム騒動のときに色いと酷い目にあって、社会的にも抹殺(オウムに狙われたのではなく、オウムを擁護するような発言をしたため)されかかったのに、よくここまで復活できたのにまず驚きました。

TBSラジオ『Dig』で葬式・墓の最新事情を特集したときに島田裕巳は出演していました。私は本よりも先にラジオの方を聞いたのが良かったのか、割とすんなりとこの本を読むことができました。

日本人の葬儀費用の平均は231万円で他の国に比べて圧倒的に高いそうです。日本の葬式がどうして金のかかる贅沢なものになったのか、宗教の歴史(主に仏教)を辿りながら非常にわかり易いく解説されています。

また、最近多くなってきた金のかからない直葬家族葬、墓、散骨についても具体的でわかり易く解説されていて、おまけに戒名のつけ方まで書かれています。ちなみに戒名にかかる平均的な金額は2007年の調査で68万円だそうです。安上がりな葬式を出すノウハウについてもかなり具体的に書かれています。

金の話が多いので、この本を読むと「坊主丸儲け」という言葉が常に頭をよぎるのですが、日本中の全国の寺が全部儲かっているわけではなく、ある程度の檀家(300軒)を抱えていないと儲けもでなそうだ。また、奈良の古い寺は檀家も墓地ももっていないので、明治の廃仏毀釈のときには酷目にあい、そのために仏像(阿修羅像など)が痛んでしまったそうです。

戒名というのは本来、仏教の教義にないもので、亡くなった人に戒名を付ける習慣があるのは日本だけだそうです。有名人の戒名もいくつか紹介されています。『ブッダ』を描いた手塚治虫も戒名を紹介されていました。ちなみに山田風太郎の戒名は風々院風々風々居士。自分で付けたそうだ。

戒名を付けるためのPC用のソフトがあることも書かれていますが、以前『トリビアの泉』でこのソフトが紹介されていたのを見たことがあります。

浄土真宗の戒名は頭に必ず釈が付いく三文字、「釈○○」となるそうです。釈由美子はどうなるのかと思いましたが、女性の場合は「釈尼○○」となるそうだ。

スタンフォード大学は死んだ子供の名前を残すため作られたという話や、PL教団の大規模な花火大会は初代教祖が「自分が死んだら嘆いたりせず、花火を打ち上げて祝って欲しい」という言葉から始まったといった、トリビアでちょっといい話もあったりします。

基本的にこの本で語られている葬式は仏教が中心なのですが、キリスト教イスラム教、ユダヤ教などの葬儀はどのくらい費用がかかるのかも知りたかったですね。

葬式は、要らない (幻冬舎新書)
葬式は、要らない (幻冬舎新書)