歴史アイドルの美甘子の『歴女 私の愛する戦国武将』を読んでみました。
吉田豪が以前TBSラジオ『小島慶子キラ☆キラ』で美甘子を紹介したのが非常に面白かったので、この本を読んでみようと思ったのですが、想像していたよりも真面目な本で正直、驚きました。
アイドル本と言えば写真多め、文字少なめと想像しがちですが、この本は全く逆で美甘子のカラー写真は巻頭の5枚のみです。コスプレ(真田幸村、石田三成、鶴姫、坂本龍馬)の微妙な感じ何とも言えません。吉田豪は『小島慶子キラ☆キラ』で美甘子を黒歴史アイドルと呼んでいたのですが、もちろん病歴やサバを読んでいたことなどの黒歴史アイドルとしての部分については全く触れられていません。
美甘子が歴史に興味を持ったきっかけから、美甘子が好きな戦国武将(石田三成、直江兼続ね小西行長)、関ヶ原の戦い、そして坂本龍馬について思い入れたっぷりに書かれた歴史エッセイ?がメインになっています。
美甘子が歴史や坂本龍馬を好きなったのはNHKで放送されていたアニメ版の『お~い!竜馬』を見ていたのがきっかけだそうです。武田鉄矢が原作、小山ゆうの作画の『お~い!竜馬』がアニメになっていたというのはこの本を読んで初めて知りました。NHKのアニメというのは盲点でした。今は『バクマン』を放送しているし、『もしドラ』のアニメ版もNHKで来年放送されるし、NHKのアニメは侮りがたいですな。
正直、私はそれほど戦国武将や坂本龍馬について興味はありません。内容的にウキペディアに書かれている事とそれほど違いはないのですが、読み易い文章なので教科書やウキペディアを読むよりもそれなりに楽しめます。
この本で私が興味深かったのは美甘子の出身地である愛媛県の大三島(おおみしま)「一人角力」の話でした。「一人角力」(ひとりずもう)とは大三島の大山祇神社で行われる目に見えない「稲の精霊」と「一力山」(人間の力士)による奉納相撲のことです。グラビアに写真が載っているのですが、エアギターやエアセックスの相撲版みたいなもの、エア相撲と言えばわかり易いと思います。(当然、「一人角力」の方が歴史は古いわけですが)以前にニュースでこの祭の様子を見たような記憶があります。三本勝負で最終的には「稲の精霊」が2勝1敗で勝ち越すことにより1年の豊作を祈る祭だそうです。「稲の精霊」が2勝1敗で勝ち越すというところに、なんとなく相撲の本質みたいなものを感じます。
吉田豪の話によると美甘子はサブカル好きで美甘子という芸名も大槻ケンヂの『グミ・チョコレート・パイン』のヒロインの名前からだそうなのでが、この本にはそういった話は一切出てきません。ちなみにケラリーノ・サンドロヴィッチが監督した映画版の『グミ・チョコレート・パイン』の山口美甘子役は黒川芽以でした。中学、高校時代は周りの女の子アイドルやバンドに話題に夢中になっている中、美甘子は坂本龍馬や歴史上の人物に夢中だったと書かれています。大槻ケンヂも筋肉少女帯もはっぴいえんどの話も全くこの本には出てきません。残念。
歴女 私の愛する戦国武将