ぶら~りネット探訪

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ジェロの『COVERS』を聞いた

黒人演歌歌手、ジェロのミニアルバム『COVERS』を聞いてみました。このアルバムはタイトルどおり昭和の歌謡曲をジェロが歌っています。 ジェロのデビュー曲「海雪」はもちろん、テレビなどで聞いて知っていました。黒人なのに日本の演歌を歌うところは面白いと思ったのですが、「海雪」の作詞が秋元康だったので、「企画モノ」的な怪しさみたいなものを感じていました。2月にNHKで放送されていたドキュメントがなかなかいい番組だったので、改めてジェロに興味を持ち『COVERS』を聞いてみました。 全てカバーで7曲しか入っていないミニアルバムですが、このアルバムはジェロとジェロを支えるスタッフの歌に対する情熱が伝わってきました。特にジェロを支えるスタッフのジェロを本物の歌手に育てようとする姿勢が選曲やアレンジから強く伝わってきます。 ジェロと言うとどうしても「演歌」というイメージが強いのですが、このアルバム全体から受ける印象は「演歌」というよりも「歌謡曲」と言う感じです。「本牧メルヘン」という曲は私は初めて聞いたのですが、井上忠夫作曲、阿久悠作詞で1972年に鹿内孝が歌った曲だそうです。あまりヒットしなかったのですが阿久悠さんにとっては思い入れのある曲だったようです。 「君恋し」ではジャズバンド、SOIL & “PIMP” SESSIONSがバックの演奏を行っていて、ゴージャスで大人の雰囲気に仕上がっています。オリジナルは1928年に二村定一が歌い、1961年にフランク永井がカバーしていたそうです。 「夜空」のギターがドゥービー・ブラザーズの「ロング・トレイン・ランニング」に似ていて笑えます。切れのいいギターのカッティングと演歌の組み合わせは何とも言えないミクスチャー感覚ですね。 「釜山港へ帰れ」ではマーティ・フリードマンがギターを弾いています。イントロからマーティはギター弾きまくりで、ほとんどマーティの世界と言う感じなのですが、歌が始まればジェロがしっかりと自分の世界にしてしまいます。ちょっと、惜しいと思うのは他の曲でも歪んだギターが入っていて、マーティのギターの有難みあまり感じられないようなところです。マーティのギターは他のギターの違いは明らかですが、全体的なバランスを考えると歪んだギターの比重をもう少し下げた方が良かったのではと思います。 「さらば恋人」は筒美京平の作曲でオリジナルは堺正章が歌っていた曲です。この曲はよくカバーされる曲で、私は175R山崎まさよしのカバーしたものを聞いたことがあります。ジェロのカバーはバックの演奏がピアノとブルースハープウッドベースというシンプルな編成で、ジェロの歌そのものが非常に映えるアレンジになっています。 このアルバムで聞けるジェロの透明感のある歌声は演歌だけ歌うのは少しもったいないような感じがします。おそらく、スタッフもちろんその事には気づいていて、このアルバムでは色々なアプローチをしてみたのだと思います。このアルバムは、ジェロの歌手としての可能性を感じさせるだけでなく色々な遊び心もあり、なかなか面白いものになっています。 COVERS
COVERS