ぶら~りネット探訪

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『聖戦-サイキック15thアニバーサリー』を読んだ

北野誠竹内義和の『聖戦-サイキック15thアニバーサリー』を読んでみました。この本は2003年にラジオ番組『誠のサイキック青年団』の15周年を記念して作られた本です。私は一回も『誠のサイキック青年団』を聞いたことはありません。 ラジオ番組に関する本というと、笑福亭鶴光ビートたけしの『オールナイトニッポン』の本や谷村新司の『天才・秀才・バカ』みたいな本を私は想像してしまいますが、この本はそういった本とはかなり内容が異なります。 この本が普通のラジオ本にありがちなリスナーからの投稿コーナーなどを中心とした本ではなく、2人の番組の有名人リスナーとの対談(正確には鼎談ですが)が中心となっています。「巨匠サイキッカー対談」に登場するのは大友克洋大瀧詠一の2人です。 大友克洋は有線で『サイキック青年団』を聞いてそうで、周りの人に『サイキック青年団』を聞くように勧めていたそうだ。大瀧詠一との対談でもそうなのですが、この対談は単に『サイキック青年団』の番組の話だけではなく、大友克洋のそれまでの仕事や当時、進行中だった仕事についてもかなり深い話をしているところが面白いですね。大友克洋は『童夢』まではそれほど深く漫画について考えて描いていなかったという話が驚きですね。『童夢』から本格的に漫画を描こうと思ったり、面白い漫画を描こうと思ったりしてそうです。『童夢』では過去の手塚治虫石ノ森章太郎の漫画や昔の映画(『七人の侍』など)のカット割り、構成を研究し、漫画にどういうかたちで応用するかを考えたそうです。 この本で一番面白いのは大瀧詠一との対談ですね。『サイキック青年団』をどのように聞いているかとか、『サイキック青年団』への大瀧詠一の思いとかももちろん面白いのですが、大瀧詠一の作品の話、ライブ嫌いの話など大瀧詠一についての話が圧倒的に面白いですね。竹内義和が『ア・ロング・バケーション』を1曲も捨て曲のないアルバムと褒めているのですが、竹内義和がそれまで聞いていたアルバムでそれに近いのが森進一の『旅路』というところショックでした。大瀧詠一も「すごいところから、攻めてきたねえ!(笑)」というのが精一杯でした。 大瀧詠一の歌は、実際に歌ってみたら実は難しいという話では「幸せな結末」を具体的な例として解説しているところが面白いですね。この歌は鼻唄みたいに言われると言っていますが、確か高田文夫がそんな事を言っていた記憶があります。 世の中の評価に関して、死んでからでなければ正しい評価はされないのではないかという発言が重いですね。なかなか世間の評価や商業的な成功がついてこなかった大瀧詠一ならではの言葉だと思います。 大瀧詠一は『サイキック』は北野誠竹内義和が死ぬまで続けてくれ、途中でやめて僕の数少ない楽しみをなくさないでくれと言っています。 細かい話になりますがピンク・レディーの「波乗りパイレーツ」のパロディーは「河原の石川五右衛門」と大瀧詠一自身が言っていますが、「波乗りパイレーツ」ではなく「渚のシンドバット」ではないでしょうか。 他にも弘兼憲史一条ゆかり浅草キッド松村邦洋からのコメントなども載っています。そのなかでも興味深いのは松村邦洋のコメントでテレビ、ラジオでのネタの規制について喋っていて、政治、宗教ネタはとくにテレビ、ラジオではできない、なにもかにも縛られた時代とまで言っています。そんな中でがんばっていた『サイキック』にエールを送ってり、最後に「スレスレなんですけどね(笑い)」と言っていますが、結局、『サイキック』もなくなってしまいました。 聖戦-サイキック15thアニバーサリー
聖戦-サイキック15thアニバーサリー