今年デビュー45周年を迎えた森進一のカバーアルバム『Love Music』を聞いてみました。
カバーアルバムは今まで色々聞いてきて、このブログで紹介してきました。最近ではマーティ・フリードマンとかジェロとかピータ等々。
カバーアルバムのポイントはだいたい3つに絞られると思うんですよ。1つは選挙区ではなく選曲。定番、スタンダードナンバーみたいな曲ばかりだと音を聞く前に気分が萎えたりします。
もう一つはアレンジ。独自の解釈による大胆なアレンジが施された曲が1曲か2曲あるだけでも、かなり全体の印象が変わってきます。
そし最後に単なるカラオケ的な趣味になっていないかとい点ですね。選曲と多少、重複するところもありますが、歌いやすい曲、話題の曲をカラオケ的な感じのカバー曲というのがけっこうあったりします。まぁ、それはそれで面白いのですが。
さて、森進一の『Love Music』ですが、選曲の部分は正直、かなり安易な感じがします。『愛のままで…』、『愛人』、『I LOVE YOU』、『桜坂』、『天城越え』という曲は他のカバーアルバムでもかなりの頻度で取り上げられる定番の曲です。布施明の『BALLAD』というカバーアルバムを聞いたことがあるのですが、選曲の傾向がかなり似ています。
サウンドやアレンジの部分はけっこうオリジナルに忠実で、それでいてちょっと高級感のあるストリングスや生楽器の使い方をしています。『瞳を閉じて』も基本的にR&B風のアレンジになっていますが、サビのところを中心にトークボックを使ったコーラスが入っているところがいいですね。間奏の所はザップの『Computer Love』みたいな感じさえします。これにはかなり驚きました。
『蕾』では薄い感じでシンセが入っているところが非常に効果的な感じです。この曲や『I LOVE YOU』といった曲では歌い手としての森進一の色が濃く出ていて、オリジナルの雰囲気が森進一の声によって完全に塗り替えられてしまっています。
マーティ・フリードマンの『天城越え』はパニック映画的な感じがすると以前書きましたが、森進一の『天城越え』は怪談という感じがしました。全体的におどろおどろしい雰囲気がします。サビのところの声にいま一つ延びがないせいなのかもしれませんが、この歌に出てくる女はとっくに誰かに殺されていて、成仏できずにいる幽霊といった感じがします。一龍斎貞水の講談みたいな雰囲気を感じます。
曲名をパッと見た感じでは、「ちょっと、これはどうか」思ったのですが、聞いてみたらけっこう、いい意味で裏切られた感じがして面白いアルバムでした。
Love Music