ぶら~りネット探訪

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『調子悪くてあたりまえ』を読んだ

今年、70歳になった近田春夫の自伝『調子悪くてあたりまえ』を読んでみました。300ページを超える分量ですがインタビューをもとに構成されているため、割と読みやすい本でした。 近田春夫の自伝ですが、GSくらいから現在までの日本の芸能史というかポピュラー音楽史を振り返るような内容にもなっています。 生い立ちからほぼ時系列で進んでいきますが、後半はCM音楽製作の話、楽曲提供やプロデュースした作品の話、週刊文春の連載『考えるヒット』について、そして大腸癌について語られています。あとゴアトランスについてもけっこう詳しく書かれていました。 テレビタレント時代の話で近田春夫が出演していた『ムー一族』の次の番組『家路〜ママ・ドント・クライ』の失敗した理由が語られているところが一番面白かったです。久世光彦のスキャンダルを樹木希林が『ムー一族』の打ち上げで暴露し、久世光彦がTBSを辞めたのは知っていました。後番組の『家路〜ママ・ドント・クライ』も久世が演出し、樹木希林も出演する予定だったのが樹木希林の暴露によって、久世と樹木希林が抜けて服部晴治(大竹しのぶの最初の旦那)を中心の若手スタッフで作っため、3ヶ月で終わってしまったそうです。この本では触れられていませんが『家路〜ママ・ドント・クライ』には今年亡くなった李麗仙も出演していました。 「祐也ファミリーvsはっぴいえんど」の日本語ロック論争についてはそれほど詳しくは語られていません。はっぴいえんどの「ですます調」の歌詞とフォーク的なところが嫌いだと語っています。近田春夫はその数年後には『天然の美』でYMOにアレンジやプロデュースを依頼しています。『天然の美』の製作中のエピソードももちあります。コンピュータが上手く動いてくれなくて、坂本龍一が結局手で弾いていたところがけっこう多かったそうです。 近田春夫は幼稚舎から慶応に通っていて『あのこは貴族』に出てきてもおかしくない人物ですが、ディスコの箱バンから祐也ファミリーに入り、CM音楽で生活費を稼ぐという全く貴族ぽくないキャラクターが素敵です。慶応出身の音楽家と言えば冨田勲小林亜星などいらっしゃいます。 近田春夫のCM音楽で有名なところは爽健美茶チョコボールがあるそうです。日本のCM音楽作曲数では小林亜星キダ・タローの次くらいだそうです。 タカラ本みりんのCMで宮崎美子がラップをやっていたのをYou Tubeでみつけました。『だからDESIRE』という曲もラップで近田春夫がプロデュースしています。ラップというより早口言葉なんですが、宮崎美子の舌の転がり具合が絶妙でたまりません。 大瀧詠一ムーンライダーズキダ・タローもCMの曲を集めたアルバムを出しているので近田春夫のCMの曲を集めたアルバムを聞いてみたいですね。 調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝 - 近田 春夫, 下井草 秀
調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝 - 近田 春夫, 下井草 秀