角川シネマ有楽町でやっている妖怪特撮映画祭で『日蓮と蒙古大襲来』を見ました。
この映画は1958年に公開され、監督は渡辺邦男、主演は長谷川一夫、北条時宗を市川雷蔵、四条金吾を勝新太郎が演じています。
最初に字幕とナレーションで日蓮の略歴が紹介され、最後に「事実に基づいているが、空想と脚色もしている」的な一言が加わっているところが笑えました。
比叡山での修行から故郷に戻ってきた日蓮が念仏を否定し、法華経こそが救いの道と説くところから始まり、辻説法を行い、立正安国論を鎌倉幕府に提出するが見向きもされず、逆に迫害され、伊豆に流されたり、龍の口で死罪になりそうになったり、佐渡に流されたりしている間に蒙古が対馬を経て九州にやって来るというお話。
長谷川一夫が演じる日蓮によると南無阿弥陀仏がダメで南妙法蓮華経が良いというのが正直、よく分かりませんでした。そんなことはこの映画のメインテーマではありません。この映画の最大の見所は蒙古の艦隊が暴風雨によって壊滅するシーンでした。でもこのシーンも単調でメリハリがあまりなく、ただ船が暴風雨の中、海の藻屑となる所を繰り返し見せられるだけでした。もちろん日蓮のお題目で台風がやって来て蒙古を撃退したように見えるようになっていました。「吹けよ風、呼べよ嵐」という感じに見えました。
長谷川一夫が主演の映画を見るのはこれが初めてでした。熱いというか暑苦しくらいの熱演ぶりがとにかく強烈で、市川雷蔵と勝新太郎はこの時点では格の違いがはっきりと分かるようになっていました。特にこの当時の勝新太郎は線の細い若侍でほとんど存在感がありませんでした。勝新太郎よりも90歳で元寇を迎え撃つ侍を演じていた左卜全の方が印象に残りました。
日蓮を目の敵にしている鎌倉幕府の役人、依智の三郎を田崎潤が演じていたのですが、前半はとにかく叫んでばかりで、逆にセリフが聞き取りにくくなっていました。田崎潤と言えば東宝の特撮映画でお馴染みの役者でした。
蒙古軍が金を滅ぼしヨーロッパへも攻め込んだというシーンも少しだけありました。蒙古具の一部の旗印に卍か卐みたいなものが描かれていたのが気になりました。蒙古軍と鎌倉幕府軍の合戦シーンは牧歌的な雰囲気を感じました。
元寇以外のエピソードもそれなりにドラマチックなのですが、上映時間が2時間18分もあり、全体的に間延びした感じで見終わったあしグッと疲れていくる映画でした。蒙古タンメン中本に行きたくなる映画でもありませんでした。
日蓮と蒙古大襲来 [DVD] - 長谷川一夫, 市川雷蔵, 勝新太郎, 黒川弥太郎, 渡辺邦男, 渡辺邦男, 長谷川一夫