アレックス・ギブニー監督によるジェームス・ブラウンのドキュメンタリー映画『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』を見ました。
プロデューサーは『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~』と同じくミック・ジャガー。ミック・ジャガーは本編の中でもインタビューに答えていました。
基本的に過去の映像と関係者へのインタビューでこの映画は構成されています。ライブの映像もけっこうな時間流れます。当たり前ですが『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~』よりも楽しみました。立川シネマシティの極音上映で見みました。
時系列でJBの生い立ちから、ボビー・バードと出会って歌手とし成功し、ファンクが誕生していく過程、バンドの造反とブーツィー・コリンズのバンドを抜擢しピンチを凌ぎ、70年代半から一気にヒップ・ホップのサンプリングのネタとし現在もJBは生き続けるというところで終わります。アフリカ・バンバータと共演した『ユニティ」』、『ロッキー4』の『リビング・イン・アメリカ』やフルフォースのプロデュースによる『アイム・リアル』については触れていません。
インタビューで登場するのはボビー・バード、メシオ・パーカー、メルヴィン・パーカー、フレッド・ウェズリー、ダニー・レイ、ブーツィー・コリンズ、チャックDなど。フレッド・ウェズリーが『Cold Sweat』が嫌いだったと笑いながら話したていたのが不思議でした。どうでもいい話ですがブーツィーはJBのモノマネがあまり似ていませでした。
71年のパリでのライブシーンがかなり使われていました。この時の音源は『Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971』としてCD化されています。最近ではYouTubeでも動画を見ることができます。やはり大きい画面で大音響で見ると全然違いますね。CDではカットされていたブーツィーのベース・ソロのシーンも流れたのですが、やはり今ひとつ何を弾いているのかよく分かりません。P-Funkとはブーツィーのスタイルが全く違うことはよく分かるのですが。
私はそれほどJBについては詳しい方ではないのでこの映画はけっこう新たに知ることがありました。リトル・リチャードの替え玉しとしてドサ回りをしていたJBがリトル・リチャードみたいなメイクをしていたのは笑えました。
一番驚いたのはニクソン大統領をJBが支持していたことです。今の感覚だと黒人やミュージシャンは民主党支持と思ってしまうのですが、JBは共和党のニクソンを支持していました。JBはニクソンにマーチン・ルーサー・キングの命日か誕生日を祝日にするように提案している音声まで出てきたのにはさらに驚きました。
サンプリングと言うかブレイク・ビーツの代名詞とも言われる『Funky Drummer』についても語られていました。なぜかドクター・ドレーの『Let Me Ride』が紹介されていのが不思議でした。『Let Me Ride』のネタ元と言えばパーラメントの『Mothership Connection』がまず思い浮かびます。時期が時期だけにバーニー・ウォーレルのシンセしか耳にはいってきませんでした。
立川シネマシティの極音上映で見ましたがプリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムズ』比べると迫力はそれほど感じられませんでした。立川シネマシティの目の前には多摩モノレール線路があるのでJB’sの『Hustle With Speed』のジャケットを思い浮かべてしまいました。