デヴィッド・O・ラッセル監督、クリスチャン・ベール主演の『アメリカン・ハッスル』を見ました。
1979年にアメリカであったアブスキャム事件をもとにした映画だそうです。アーヴィング・ローゼンフェルド(クリスチャン・ベール)とその愛人シドニ・プロッサー(エイミー・アダムス)は詐欺師のコンビで絵画の贋作を売りさばいたり、投資詐欺で成功していた。しかし、FBI捜査官 リッチー・ディマソ(ブラッドレイ・クーパー)に踏み込まれ、お縄になってしまう。アーヴィングとシドニはFBIに捜査協力することで罪をまぬがれることになるが、その捜査協力とはカーマイン市長(ジェレミー・レナー)への囮捜査だったというお話。
ハゲでデブに変身したクリスチャン・ベールの役者魂は凄いのですが、これはほぼ出落ち的な感じで、エイミー・アダムス、ブラッドレイ・クーパー、そしてジェニファー・ローレンスのキャラがとにかく濃いのでクリスチャン・ベールの変身ぶりは途中からほとんど気にならなくなってしまいました。
ジェニファー・ローレンスのキャラの濃さと言うか灰汁の濃さは凄いですね。この人まだ23歳なんですけどすごい貫禄でした。『渡鬼』の沢田雅美と東てる美の煮詰めたような嫌味と似たもの感じました。ジェニファー・ローレンスはキレイでエロくて、こんな演技までできるのが凄い。余談ですがベルリン映画祭で最優秀女優賞を受賞した黒木華も23歳でした。
エイミー・アダムスはオッパイがこぼれそうな衣装で頑張っていたんですが、ジェニファー・ローレンスにはかなわない感じがしました。エイミー・アダムスはイギリス人という設定でイギリス訛りを話しているそうなんですが、英語が分からない私には全く分かりませんでした。アメリカの英語とイギリスの英語は東京弁と関西弁くらに違いが分かるものなんでしょうか?
マフィアのボス役で出てきたロバート・デ・ニーロが本当に怖くて、クリスチャン・ベールが蛇に睨まれた蛙みたいになるシーンが笑えました。ロバート・デ・ニーロの出番は2、3シーンしかなかったのですが、ジェニファー・ローレンスの次にこの映画は存在感がありました。
デヴィッド・O・ラッセル監督のサントラは60~70年代のロックが多く使われているのが特徴で、今回もポール・マッカートニーの『死ぬのは奴らだ』を歌いながらジェニファー・ローレンスが掃除をするシーンは予告で知っていました。オープニングタイトルのシーンではスティーリー・ダンの『Dirty Work』かかっていました。ブラッドレイ・クーパーとエイミー・アダムスがディスコに行く前のシーンではトッド・ラングレンの『I Saw the Light』、ディスコの中ではドナ・サマーのI Feel Love』がかかっていました。ジェファーソン・エアプレインの『White Rabbi』もかかっていましたが、英語ではない言葉で歌われたカバー・バージョンのようでした。EL0の『10538序曲』、トム・ジョーンズの『Delilah』といった曲も使われていました。
エンドロールでかかっている曲はちょっとファンキーでそれでいてハードロック風のギターも素敵な曲でした。60~70年代のちょっとマイナーなロックバンドの曲なのかと勝手に思っていたらELOが2001年にリリースした『Zoom』の日本盤ボーナス・トラックとして入っていた『Long Black Road』という曲でした。私はこの曲に一番騙されました。
ちなみに、『Zoom』が出る前の『Flashback』というボックスセットは持っていますが、『Zoom』は全く聞いていません。