三浦しをん原作、石井裕也監督、松田龍平主演の『舟を編む』を見ました。
原作は第9回本屋大賞を受賞しているそうです。最近の本屋大賞受賞作やノミネート作の映画化率は非常に高いですね。今年の本屋大賞受賞作『海賊とよばれた男』も映画化されるでしょうね。
私は原作を読んでいません。『川の底からこんにちは』の石井裕也が監督していることを最近知って、見てみる事にしました。ちなみに石井裕也は満島ひかりの旦那です。
玄武書房は中型国語辞典『大渡海』を作ろうとしていた。しかし、ベテラン編集者の荒木(小林薫)は定年が近く、若い西岡(オダギリジョー)は経験不足。荒木と西岡は社内で新たな編集者を探していると営業部にいる大学院で言語学を学んでいた馬締(松田龍平)に出会う。馬締は言語に対する能力は高いがコミュニケーション能力は極めて低い男だった、というお話。
国語辞書の編集という地味なテーマを扱った原作で、主人公の馬締光也(まじめみつお)も口下手の地味なキャラクターという映像化には不向きな要素が詰まった映画で、ストーリー自体にも起伏が少ないのに上映時間は133分もありました。
馬締が『大渡海』の編集部に加わり、馬締が下宿の孫娘の香具矢(宮崎あおい)と結ばれるくらいまでは、なんとか寝ずに見ていられましたが、中盤以降は2回寝てしまいました。寝て起きても話がほとんど進んでいませんでした。体感時間は4時間くらいに感じられました。
辞書作りという言葉を扱う仕事なのに「言葉足らず」の映画という感じですね。馬締が寡黙なキャラクターというのはしょうがないとしても、説明不足というのではなく他の登場人物も映像も「言葉足らず」な感じでした。
私にとってこの映画の一番の見どころは馬締の下宿にやって来る茶トラ猫の「トラさん」ですね。けっこうデブな所も良かったですね。出番が少なく、顔のアップもほとんどない所が残念でした。配給が松竹だから「トラさん」なんでしょうか?それとも原作にも「トラさん」は登場しているのでしょうか?
松田龍平と小林薫の共演している所もこの映画の見どころですね。松田優作と小林薫は1985年の森田芳光監督作の『それから』で共演しています。
加藤剛を久々に見たら晩年の加藤嘉のような感じになっていました。池脇千鶴も久しぶりに見ました。
この映画を見ていたら90年代にフジテレビの深夜に放送されていた『たほいや』という番組を思い出しました。『たほいや』は広辞苑を使ったゲームでした。
この映画きっかけにTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』でサンキュータツオをゲストに迎え2012年に2月11日に放送された『萌える辞書特集』をポッドキャストで改めて聞き直してみました。『萌える辞書特集』を聞くと「辞書って面白い」と思えてきます。特に三省堂の『新明解国語辞典』を読んでみたくなります。ちなみにサンキュータツオと三浦しをんは早稲田の同級生で学部も同じだったそうですが、面識はないそうです。