小林よしのり、中森明夫、宇野常寛、濱野智史がAKB48について語り合った『AKB48白熱論争』を読んでみました。
私自身はAKB48にはほとんど興味がありません。小林よしのりを始めとするいい大人4人がAKB48についてどんなことを語っているのかが気になって読んでみました。確かに「白熱」している部分はありますが「論争」になっている所はほとんどありません。みんなAKB48が好きで、明確な対立軸がないのが致命的です。
二部構成になっていて、二部の前に指原事件があり、4人ともかなり動揺しているがはっきり分り、二部以降の方が格段に面白くなっています。しかし、小林よしのりと中森明夫の発言内容はかなりプロレス的な雰囲気があります。
AKB48のシステムはプロレス的なショーの要素と総合格闘技のガチンコの要素が良い感じ融合されているところが素晴らしいと言っている部分があります。また、AKB48はSNSで情報がダダ漏れで全部ガチンコだと繰り返しこの本では言われています。AKB48につていあまり関心のない私からするとAKB48の運営側から流れてくる情報よりも、週刊文春や週刊新潮に書かれるAKB48に関するスキャンダラスの記事の方が本当か嘘かは分かりませんが面白いのは確かです。
アイドル評論家と名乗っている中森明夫ですが、AKB48以外のPerfumeやももいろクローバーZに関する発言が雑なのもこの本の面白い所です。中田ヤスタカのプロデュースするアイドルはみんな交換が可能とか、テクノで若い娘が踊れば気持ちいいというのはいい加減過ぎて素晴らしい。
松本隆と細野晴臣の作詞、作曲でデビューしたスターボが売れなかったのは、分かるとし、中田ヤスタカのがプロデュースしてもMEGや鈴木亜美はPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅ程売れないのはなぜなんでしょうか?
AKB48の楽曲については小林よしのりは割りと多めに話していますが、中森明夫は全くと言ってほど話していません。小林よしのりは昔の歌謡曲的なノスタルジックなところに惹かれているようです。
宇野常寛は『RIVER』と『Beginner』と美空ひばりの『川の流れのように』(作詞は秋元康)について日本の戦後史を絡めて話していますが私は『RIVER』と『Beginner』も聞いたことがありません。小林よしのりも『RIVER』が好きだと言っていました。
この本を読んでいると4人ともAKB48の誰に一番思い入れがあるとか、どの曲が好きだとかということはあまり関係なく、「総選挙」というシステムが好きなんだということが分かりました。特別な才能や美貌もない女の子を「推す」ことでアイドルにすることが魅力なんだそうです。宇多丸も総選挙と映画についは熱く語りますが、それ以はあまり語っていませんね。宇野常寛と濱野智史のご両人はこのシステムがアジアやアメリカに広まっていくことを夢見ているようです。
この本はトンデモ本としての完成度はかなり高いと思います。目次の各章のタイトルを読むだけで頬が緩んできます。