ぶら~りネット探訪

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吉田豪の『サブカル・スーパースター鬱伝』を読んでみた

久しぶりに吉田豪の本を読んでみました。『サブカル・スーパースター鬱伝』です。

タイトルは80年代に少年サンデーに連載されていた梶原一騎原作の『プロレススーパースター列伝』のパロディですね。しかもイラストは『プロレススーパースター列伝』の絵を書いていた原田久仁信という素晴らしさ。

内容はサブカルのスーパースターたちが40代以降に体験した鬱体験を赤裸々に語ったインタビュー集になっています。登場するスーパースターはリリー・フランキー大槻ケンヂ川勝正幸杉作J太郎菊地成孔みうらじゅんECD松尾スズキ枡野浩一唐沢俊一、最後に菊地直子ではなく香山リカの11人。

具体的なエピソードを諸事情によって話せない人は正直、面白くありません。悩んでいる自分に酔っている様な人もいて、そういう人のインタビューも面白くありません。

ECD唐沢俊一の話がこの本の中では強烈な印象があります。ECDは鬱ではなくアル中だったときの話が凄く面白いですね。アル中ネタと言えば中島らも吾妻ひでおの本や漫画を読んできましたが、ECDの話もそれに匹敵するような面白さがあります。アル中が酷い時は食欲も性欲もなく、音楽も受け付けなかったのが、アル中から回復するに従ってそれらも徐々に戻ってきて、久しぶりに聴いたのがシド・バレットというのがよく出来た話で笑いました。それじゃダメじゃん

唐沢俊一は『社会派くんが行く!』シリーズで相棒だった村崎百郎が刺殺されたことにも語っているところが非常に印象的でした。唐沢俊一村崎百郎の死について語っている初めて読みました。鬱が軽い病気とは言いませが、実際に身体壊れる話や死についての話は衝撃度がちょっと違いますね。

川勝正幸はこの本のインタビューの後、火災で亡くなってしまいました。TBSラジオの『Dig』で川勝正幸の追悼特集が組まれ、電話で出演した町山智浩は泣いていたました。この本の吉田豪川勝正幸への追悼のコメントもなかか感動です。川勝正幸にフックアップされることを夢見ていた吉田豪の熱い言葉にグッと来ます。「間に合ったのか」という言葉は斉藤和義Boseの『いたいけな秋』を思い出しました。

松尾スズキが『ウルルン滞在記』のナレーターをやっていたのはこの本で初めて知りました。『プロジェクトX』のナレーターを田口トモロヲやっていたのにちょっと似た感じがしますね。私は『ウルルン滞在記』は1回も見たことはありませんが。そう言えば去年の年末の『情熱大陸』で吉田豪が取り上げられていました。

みうらじゅんのインタビューが全くユルくないのが不思議でした。かと言って鬱についてもそれ程、積極的に語っているわけでなく、珍しく硬い感じの話になっています。そう言えば離婚についても少しだけ語っています。

そして杉作J太郎ですね。鬱々として死にたい気分でエヴァンゲリオンのパチンコを打っていたら、綾波レイに「あなたは死なしないわ」と言われて自殺を思いとどまったり、『ガンダムSEED』のモノマネで鬱が治ったり、本当に「すべてまぼろし」という感じです。

サブカル・スーパースター鬱伝