ぶら~りネット探訪

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『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』を読んだ

安田浩一の『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』を読んで見ました。

この本は在日韓国・朝鮮人が日本で不当な特権(在日特権)を得ていると主張し、その撤廃に青春をぶつける若者たちの姿を追ったノンフィクションです。

在特会の正式な名称は「在日特権を許さない市民の会」だそうです。私も薄々はこの団体のことは知っていましたが、この本を読むまでは詳しくは知りませんでした。現実の世界で活動するネット右翼というような感じで考えていました。その認識は外れてはいなかったのですが、思ったよりも社会への影響が強いようです。

安田浩一在特会のメンバーや在特会に影響を与えたり、かつては友好関係があったが袂分かった人物や団体や在日の人たちなど多角的にインタビューを行い在特会の闇に迫っていきます。しかし、在特会の会長、桜井誠へのインタビューは実現していません。

安田浩一桜井誠の故郷を足を運び、桜井誠の高校時代の同級生や近所に住んでいた人へインタビューなども行っています。桜井誠の高校の卒業アルバムの写真も掲載しています。

安田浩一は『東電OL殺人事件』や『ハシシタ 奴の本性』で物議をかもした佐野眞一の弟子筋にあたる人だそうで、取材対象に対する接し方が似ている気がします。ちなみに桜井誠の故郷はソフバンクの孫正義の故郷の近くだそうです。

この本の面白いところは在特会そのものよりも、在特会を批判しながらも、どこかで在特会に惹かれてしまっている安田浩一の姿勢だと思います。前半はなるべく中立的な立場を保とうしていますが、中盤で在特会と袂を分かった人たちの声で批判的な言葉が多くなりますが、後半は既成の左翼の退潮と現在の保守や右翼の革新性について語っています。そして「エピローグ」は若い時の安田浩一の「アペタイト・フォー・ディストラクション」と「シンパシー・フォー・在特会」になっています。

本来、不況や社会の混乱期にセーフティネットとしての役割を果たすはずの左翼勢力が自分たちの既得権益を守ることしかやっていないというのは納得させられました。しかし、在特会や新しい保守勢力がセーフティネット的な役割を担っているか、そういうわけでもなく、「世の中で上手くやっていけない人たち」がネットを通じてたちが集まってきて、憂さ晴らしをする所でしかないようにこの本を読んでいると感じます。

しかし、私は在特会ネット右翼の考え方には全く共感はしません。それらの人たちが本当に日本や日本の文化を愛しているかという点に非常に疑問があるのと誰かを憎むことを生きがいにするのは虚しさを感じるからです。

こういった新しい保守的な考え方を持つ人は小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』の影響も強いようですね。私も『週刊SPA!』に連載されていたころの『ゴー宣』は読んでいましたが、『SAPIO』に移ってから読まなくなりました。小林よしのりが右に方向を変えたのは『SAPIO』に移ってしばらくしてからですね。そして今、小林よしのりAKB48に夢中。

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)