ぶら~りネット探訪

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『ポエトリー アグネスの詩』を見た

宇多丸イ・チャンドン監督の前作『シークレットサンシャイン』を高く評価していて、2008年のシネマハスラーランキングで『シークレットサンシャイン』を1位に選んでいました。そんな『シークレットサンシャイン』と『ポエトリー アグネスの詩』が早稲田松竹でかかるというので見に行てきました。

『ポエトリー アグネスの詩』は2010年の作品で日本では今年の2月にロードショー公開されました。予告は何回か見た記憶があり、「詩を書こうとする婆さんの話なんて地味だし、ただのいい話ぽくって、私の趣味ではないな」と思っていました。

韓国の地方都市で中学生の孫と暮らすミジャという婆さんが主人公。ミジャはいつも身なり気を使い周りからは「オシャレなおばさん」とよく言われている。しかし、実際のミジャはヘルパーとして介護の仕事をしているものの生活保護を受けている。そんなミジャは町の公民館みたいなところで詩の講座を受けることになる。そして孫と同じ中学に通う女子中学生が自殺するという事件が起こる。まるで無関係と思われていた事件にミジャの孫も関わっていることが分かり、ミジャに過酷な運命が待ち受けているというお話。

物語は基本的に淡々と進んでいきますが、詩の講座に通って詩を書こうとするエピソードと女子中学生の自殺事件に関わるエピソードが絶妙なバランスで絡み合いながら進んでいくため、ほとんどダレる様なところがありませんでした。

私は俳優で映画を選んでみることはほとんどないのですが、見る映画に同じ俳優がやたらに出てくることがあります。一時期やたらにマット・デイモンを見続けていた記憶があります。

普段は韓流映画も韓流ドラマも見ないので、たまに韓国映画を見るとほとんどの役者が初めて見る人なので新鮮で面白い。この映画に出てくる役者も全員初めて見る役者で、みなさん芸達者で強い衝撃を受けました。

特に印象的だったのはミジャの孫を演じていたイ・デビッドという役者のボンクラ中学生ぶりですね。セリフはほとんど無く、飯を食ったり、テレビを見たりするシーンばかりなんですが、そのあまりの自然なダメっぽさがたまりませんでした。

ミジャがヘルパーとして介護している「会長」と呼ばれる爺さんも良かったですね。脳梗塞かなにかで身体が不自由な演技が凄いです。公式サイトを見たら、演じていたキム・ヒラという役者さんは実際に脳梗塞を患っていたそうです。

会長がバイアグラを飲んで勃起するエピソードには笑いました。介護が必要な爺さんがバイアグラを飲んで勃起するものなのか?ちょっと疑問に思いました。しかし、長門裕之の父、沢村国太郎脳卒中で倒れた後、沢村国太郎の世話をしていた若い家政婦が次々に辞めていった原因が、風呂の世話をしているときに沢村国太郎が勃起していたというエピソードを思い出して、全くのリアリティのない話ではないと思いました。

素人のポエトリーリーディングの会で、毎回下ネタで笑わせるほっしゃん。似の警察官も良かったですね。漫談というかスタンドアップコメディのような感じの喋りが素晴らしかった。

会長と警官が話の後半で重要な役割を負うことになるのですが、前半では全くそんなことは想像もつきませんでした。伏線の張り方や回収のやり方がとにかく自然で見事でした。

もちろん主演のミジャを演じたユン・ジョンヒも良かっです。揺れ動く心というか、あっちへフラフラ、こっちへフラフラするミジャの気持ちがセリフだけでなく表情や身体の動きでもよく表現されていたと思います。

『シークレットサンシャイン』は『ポエトリー アグネスの詩』に比べると物語が全体的に起伏に乏しいように感じられました。『シークレットサンシャイン』ではまたしても主演のチョン・ドヨンの嘔吐シーンがありました。最近見た『おおかみこどもの雨と雪』や『ダークナイト ライジング』よりも『ポエトリー アグネスの詩』の方がずっと面白く感じられた。

ポエトリー アグネスの詩 [DVD] - ユン・ジョンヒ, イ・チャンドン, ユン・ジョンヒ, イ・デビッド, アン・ネサン, キム・ヒラ, パク・ミョンシン, イ・チャンドン
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