園子温監督、染谷将太、二階堂ふみ主演の『ヒミズ』を見ました。原作は古谷実の漫画。
園子温の映画を撮るペースの速さにまず驚きます。『冷たい熱帯魚』が去年の今頃の公開で、『恋の罪』は去年の11月頃だったはず。
三池崇史も園子温と同じくらいのペースで映画を撮っていますね。三池崇史監督作は現在、『逆転裁判』が公開中です。
『恋の罪』が今一つだったので、『ヒミズ』もどうか思ったのですが、どうもスクリーンにのめり込むことができませんでした。『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』にあったたたみかけるようなスピード感が『恋の罪』や『ヒミズ』には感じられませでした。
東日本大震災の被災地のシーンやしつこい暴力シーンには時々、ハッとさせられますが全体的には非常にまったりとして流れになっているうに感じられました。
主人公の染谷将太演じる住田祐一が何を考えているのかよく分かず、感情移入しづらいキャラクターになっているのは演出だと思います。『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグと似たような演出、演技に感じました。
しかし、染谷将太の冷め切った目や表情は非常に印象的でした。宇多丸は『太陽を盗んだ男』をリメイクするとしたら染谷将太がいいんじゃないかと言っていましたが、同じ沢田研二主演の『ときめきに死す』の沢田研二の方があっている気もします。
二階堂ふみは一生懸命、頭の少しおかしい女の子を演じていたという感じがしてしまいました。そんな一生懸命でかわいさ三割増しくらいに感じました。
園子温の映画なので土手から転げ落ちたり、転んだりするシーンで二階堂ふみはしっかりパンツが見えていました。と言っても『愛のむきだし』や『恋の罪』のようなエロいシーンはほとんどありませんでした。色気はほとんどない二階堂ふみですが、シーンによってはちょっエロく見えたのは園子温のせいなのでしょうか。
染谷将太は光石研やでんでんや村上淳にやたらと殴られていましたが、二階堂ふみは染谷将太に殴られていました。日常的に繰り返される暴力は北野映画みたいな感じもしました。
全く関係ありませんが、むかし村上龍の映画に二階堂ミホという女優が出ていたのを思いだしました。
でんでん、渡辺哲、吹越満、渡辺真起子、西島隆弘といった最近の園子温映画のお馴染みの役者がいっぱい出てくるだけでなく、村上淳、窪塚洋介、吉高由里子といった役者まででてきます。ほんの吉高由里子はワンシーンだけでした。吉高由里子は『紀子の食卓』にも出ていました。そう言えば宮台真司も出ていました。宮台真司は特殊な映画俳優と言ってもいいくらい映画に出てます。
中学の授業のシーンで先生が震災について話しているシーンを見ていたら、エヴァンゲリオンに出てくる根府川センセイを思いだしました。根府川センセイ授業中に脱線してはセカンドインパクトの話を繰り返すちよっと困ったセンセイでした。「そのころ私は根府川に住んでいましてねえ。」というのが口癖でした。
実際の震災の被災地で撮影したシーンがあることが物議をかもしたりもしていますが、埼玉愛犬家連続殺人事件や東電OL殺人事件をモチーフに映画を撮っている園子温のことなので特に違和感はありませんでした。それでこそ園子温なのだと思います。
