ぶら~りネット探訪

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『ヒロコ ウルトラの女神誕生物語』を読んだ

ウルトラQ』で江戸川由利子、『ウルトラマン』でフジ・アキコ隊員を演じた桜井浩子が書いた『ヒロコ ウルトラの女神誕生物語』を読んでみました。

タイトルに『ウルトラの女神』という言葉があり、表紙が『ウルトラマン』のフジ隊員の写真、裏表紙がカラーの『ウルトラQ』の写真になっているため『ウルトラQ』や『ウルトラマン』の撮影時の話が中心かと思いましたが、それはちょっと違いました。

桜井浩子の誕生、芸能界から入るまで、そして『ウルトラQ』や『ウルトラマン』の撮影までのエピソードを時系列でたどっていくという構成になっています。

最初に思っていたイメージとはちょっと違いましたが、50年代から60年代にかけての映画界を中心とした芸能界が10代の少女からの視点で書かれているのが非常面白く感じられました。貧しい家庭で育った少女が芸能界に入り、色々な困難を克服していくサクセスストーリーとしはベタで、ゴールも分かっていますが、その安心感が心地よく感じられました。

将来になりたい職業をバレリーナ、バスガイド、女優と考えていた桜井浩子講談社の『なかよし』が募集していた写真物語『ひとみちゃん』のモデルに応募します。応募写真を見た『ひとみちゃん』の作者、三谷晴美に目に止まり桜井浩子は芸能界入りのきっかけを掴むことになります。ちなみ三谷晴美とは現在の瀬戸内寂聴です。瀬戸内寂聴少女小説から作家業をスタートしています。

最近、瀬戸内寂聴ケータイ小説にも進出していました。瀬戸内寂聴にとってケータイ小説を書くことは新しい分野への挑戦と言うよりも原点回帰みたいなものだったのかもしれませんね。

桜井浩子はさらに女優へステップアップするためにいくつかの劇団や事務所を経て東宝へ入社します。東宝に入ってからは市原悦子とオーディションで何度か顔合わせたり、森繁久彌の社長シリーズや岡本喜八川島雄三の映画にも端役で出ています。森繁の撮影現場でのセクハラまがいの振る舞いなどがサラリと書かれているところもいいですね。

桜井浩子東宝に所属していたのになぜかゴジラシリーズや東宝の特撮シリーズには1作もでていません。ちなみに東宝芸能所属の沢口靖子や長瀬まさみは80年代以降のゴジラシリーズに出ています。

ウルトラQ』の撮影当時の話しでは、映画とテレビの待遇の違いについてけっこう具体的に書かれています。当時は映画の方に予算がかけられていて、テレビは低く見られていて予算がかけられなかったそうです。ロケに行くにもスタッフと俳優が同じマイクロバスに乗り、高速道路は使わずロケ弁当も安く抑えられていたそうです。

最初はあまり乗り気ではなかった桜井浩子は先輩で映画で何本も主演をはったことのある佐原健二が身を挺して頑張っている姿に影響されて積極的に撮影に協力していくことになります。脚本を書いていた金城哲夫も『ウルトラQ』のエキストラとして参加していたという話には驚きました。第10話『地底超特西へ』では車掌役をやっているそうです。

ウルトラマン』の撮影時のエピソードでは当時付き合っていた男性の事がけっこう書かれています。しかも二股をかけていたことも。

ウルトラマン』の撮影が終わるとところでこの本は終わっています。『ウルトラマン』以降の話も読んでみたいものです。

ヒロコ ウルトラの女神誕生物語
ヒロコ ウルトラの女神誕生物語