ぶら~りネット探訪

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『天皇ごっこ 見沢知廉・たった一人の革命』を見た

大浦信行監督の『天皇ごっこ 見沢知廉・たった一人の革命』を見ました。

見沢知廉とは左翼、右翼の活動家を経て小説家になった人。右翼時代のスパイ粛清事件で殺人罪と火炎瓶取締法違反で懲役12年の刑を受けています。獄中で書いた『天皇ごっこ』が第25回新日本文学賞の佳作に選ばれ1995年に小説家としてデビュー。2005年に自宅のマンションから飛び降り自殺しています。

私は当時『週刊SPA!』の鈴木邦男のコラムで見沢知廉を知り、『天皇ごっこ』、『囚人狂時代』などを読みました。左翼の活動もしていた事や鈴木邦男一水会で活動していた事から、既存の右翼とは一味違った立ち位置と考え方が面白かったのを記憶しています。

私が鈴木邦男を知ったの、は鈴木邦男UWF関連の対談などに多く登場していたのがきっかけでした。見、沢知廉もサブカル好きの一面があり、エヴァンゲリオンにはまって、綾波レイのフィギュアと一緒に写真を撮ったり、暴走族が読むようなバイク雑誌で人生相談をやっていたり、それまでの右翼のイメージとは違うタイプだったのがきっかけで、私は鈴木邦男見沢知廉に興味を持ちました。

見沢知廉キャンディーズも大好きだったんですよね。今生きていたら、現在のアイドルシーンやK-POP、韓流などについてどう思ったのでしょうか。

今回の映画は生前、見沢知廉の関係の深かった人のインタビューから構成されています。自分を見沢知廉の双子の妹と思い込む女が東京にやって来るというフィクションのシーンも一部織り交ぜられています。関係者のインタビューも正直、それほど面白くないのですが、フィクションのシーンは安くて退屈なイメージカットなどが多く、輪をかけてつまらない出来になっています。

インタビューで関係者から語られる話は政治活動と文筆活動のカタい話ばかりで、人間、見沢知廉について語った話がほとんどないというのがこのインタビューというか映画をつまらなくしています。

実母である高橋京子と二十一世紀書院代表の蜷川正大のインタビューがわずかに生身の見沢知廉について語っているように見えました。雨宮処凛のインタビュー以前に雨宮処凛が自分の本などで語っている事と重複している部分が多かったのが残念でした。鈴木邦男はカメラをかなり意識しているようで、芝居がかった話し方は面白かったですね。

中島岳志がインタビューで何度も「ミサワ」を「ミシマ」と言い間違えていたのは演出や何か意図があったからなのでしょうか?見沢知廉というペンネームは本屋や図書館の棚で、尊敬する三島由紀夫の近くに並べてられたいために付けたペンネームという話を何処かで読んだ記憶があります。

映画は正直面白くなかったのですが、上映後のトークショーが面白くて、これで元が取れた感じがしました。私が見たのは元連合赤軍植垣康博が出演した回でした。最初は監督の大浦信行と植垣康博の二人で面白くなかったのですが、途中から偶然、ケイズシネマに来ていた鈴木邦男が加わり一気に雰囲気が変わり時々、場内が爆笑に包まれるほど盛り上がりました。

鈴木邦男植垣康博連合赤軍での活動(銀行強盗、「総括」という名のリンチ殺人)について面白可笑しくツッコミを入れていました。植垣康博はリンチ殺人で仲間を9人殺しています。

最初はピンと来ませんでしたが、中村うさぎの『うさぎが鬼に会いにいく』に出ていたのを思いだしました。人を殺めたことのある人を間近で見たのは初めてです。

山岳ベースで雑魚寝しているときに植垣康博永田洋子(今年獄死)のオシリを触ったというエピソードなども話していました。永田洋子については連合赤軍に入っていなかったら組合の専従や普通の事務員をしているようなタイプとも話していました。

余談ですが、私がケイズシネマで映画を見たのは『劇場版虫皇帝』以来でした。

天皇ごっこ
天皇ごっこ