ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

『家族ゲーム』を見た

9月に銀座シネパトスで沢田研二の主演映画を特集上映していました。その中の森田芳光監督の『ときめきに死す』を見たら、同じ森田芳光監督の『家族ゲーム』の事を思いだしました。そしたら偶然にも川崎市市民ミュージアムのATG特集で『家族ゲーム』が上映されていたので見に行って来ました。 『家族ゲーム』は1983年に公開された映画で主演は松田優作で、宮川一朗太伊丹十三由紀さおり戸川純などが出演しています。 受験生の次男(宮川一朗太)を抱える平凡な家庭に型破りな家庭教師(松田優作)がやって来る。色々な障害を乗り越えてやがて息子は父親(伊丹十三)が望む志望校に合格するというお話。 私は封切りのときにリアルタイムで見ていますし、テレビでやっていたのも何度か見ています。十数年ぶりに見ましたが、声を出して笑ってしまうシーンが何回もあるほど面白い映画でした。物語としては平凡な話ですが、脇役を含めて役作りと演出の細かさ、そして独特の間が笑いを誘うようにできています。 アクションスターだった松田優作が髪を切って家庭教師役をやるという意外なキャスティングが当時、話題になっていました。ロボットみたいな無表情で人間味のない演技と言われていた記憶がありますが、改めて見るととっても人間臭い感じがしました。本屋で漫画を立ち読みをして勉強をサボっている宮川一朗太を見つけて、本屋の前でコブラツイストをかけるシーンは何度見ても笑えます。でもコブラツイストがちょっと違うような気もしました。 松田優作伊丹十三由紀さおりの役作りや演技について語られがちですが、宮川一朗太の担任の教師役を演じた加藤善博の役作りと演技も面白ものがありました。中年の体育教師のちょっと投げやり気味の倦怠感が非常にリアリティを感じました。松金”エイドリアン“よね子の英語教師の出番は授業のシーンだけで演技をしているのか、していないのかよく分からないほど自然でした。職員室のシーンでその他の教師役として清水健太郎が一瞬だけ映っていたのに今回気づきました。 戸川純も印象的だったのですが、改めて見ると2回しか登場シーンがありませんでした。それだけ戸川純の存在感が強烈だったということなのでしょう。昔は奇妙な危ない感じの女にしか見えなかった戸川純が今見ると奇妙だけど可愛く見えました。 問題のある家庭に突然、嵐のように闖入者が入ってきて、家族を引っ掻き回した挙句、去っていく所は、今年見たスペンサー・サッサー監督、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演の『メタルヘッド』に似ています。『メタルヘッド』のヘッシャーは勝手にTJの家に上がり込んだ所と、吉本が家庭教師として雇われて沼田家にやって来るという微妙な設定の違いはありますが、旁若無人で強引な振る舞いで、周りの人間を変えてしまう所は非常に似ています。スペンサー・サッサーが『ブラック・レイン』を見て、松田優作という役者に興味を持ち、『家族ゲーム』まで見ていた可能性は、殆ど無いとは思いますが。 余談ですが、『メタルヘッド』でジョゼフ・ゴードン=レヴィットが白いブリーフ一枚になるシーンがあり、『家族ゲーム』では松田優作ではなく宮川一朗太が白いブリーフ一枚になるシーンがあります。 80年代初めの雰囲気を強く感じる映画としては、この後、伊丹十三が監督として撮った『お葬式』や『タンポポ』等に共通したものを感じます。 家族ゲーム [DVD]
家族ゲーム [DVD]