ぶら~りネット探訪

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『スーパー!』を見た

ジェームズ・ガン監督・脚本、レイン・ウィルソン主演の『スーパー!』を見ました。

この映画は以前、映画評論家の町山智浩さんのブログで紹介されていたのがきっかけで知りました。今のところ、渋谷のシアターNと新宿の武蔵野館でしか上映されていません。シアターNには町山さんが同じ頃に紹介していたルトガー・ハウアー主演の映画のポスターが貼ってあり、確か11月の上映と書いてありました。

レイン・ウィルソン演じる冴えない中年男フランクは妻であるサラ(リヴ・タイラー)をドラッグの売人(ケヴィン・ベーコン)に取られてしまう。ある日フランク、神の啓示を受け、スーパーヒーローのコスチュームを自作し、「クリムゾンボルト」に変身し、まずは街にはびこる悪党どもを退治しながら、妻をさらったドラッグの売人を追い詰めていくというお話。

主演のレイン・ウィルソンは『メタルヘッド』にも出ていました。シアターNでは早朝とレイトショーでまだ『メタルヘッド』をやっているようです。『スーパー!』はレイン・ウィルソンは一見、行動的に見えますが、病んでるいところ『メタルヘッド』の役所と共通している様に見えます。2つの映画ともラストはハッピーエンドです。

特殊能力のない冴えない男が主人公で、スーパーヒーローになるという設定やあらすじだけ聞くと『キック・アス』の二番煎じ的な映画に思えます。オープニングのヘタウマなアニメとガレージ・パンク風の音楽を聞いていると最初は確かにそんな感じがしました。

キック・アス』が爽快感なポップな暴力映画だったのに対して、『スーパー!』は妙に地に足が着いたリアリティのある暴力映画といった感じがしました。クリムゾンボルトがヤクの売人やロリコン変態野郎を退治するまではいいのですが、列に割り込んだカップルにまでスパナで殴りかかるのは最高に笑えました。痛みが伝わってくる暴力表現は北野武の映画にもちょっと似ていますね。でも基本的には笑える映画です。

クリムゾンボルトの相棒となるボルティー(リビー)をエレン・ペイジが演じています。エレン・ペイジの気がふれたような怪演ぶりが凄いことになっています。バカ笑いしながら敵に向かっていくシーンはとにかく凄いです。リビーはコミックショプで働いていて、スーパーヒーローに憧れているわけですが、スーパーヒーローのコスチュームには性的な興奮を覚えるという所も笑えました。

日本でこの手のエキセントリックな汚れ役ができる若手の女優と言うと満島ひかりを思い出しますが、エレン・ペイジのこの映画での狂いっぷりは、ちょっと次元が違う感じですね。エレン・ペイジは『X-MEN:ファイナル ディシジョン』や『インセプション』といった普通にハリウッド大作映画にも出ている所が凄いというか不思議。

フランクはテレビのヒーローモノの番組を見て、神の啓示を受けるのですが、このスーパーヒーローモノの番組の安さと言うかショボさがたまらなく味わい深いものがありました。あの番組をやっていたチャンネルはキリスト教原理主義の人たち向けのチャンネルのように見えたのですが、どうなんでしょうか?この映画は基本的には成りきりスーパーヒーローモノですが、キリスト教的な世界感もかなり裏の部分には流れているようにも感じました。

この映画の公式サイトの有名人のコメントには一番頭に新宿タイガーがコメントを寄せています。新宿タイガーとは新宿でタイガーマスクを被って新聞配達をしている名物オジサンの事だと思われます。みうらじゅんは新宿の映画館で偶然新宿タイガーと一緒に映画見たと書いていたことがありました。新宿タイガーのコメントも素敵です。公開前には町山さんと高橋ヨシキさんのコメントしかありませんでした。

シアターNでは三分の二くらい客席は埋まっていました。前にはカップルが座っていて、男の方は時々、手を叩いて大爆笑していたのに対して女の方は中盤あたりから明らかに飽きている様子でした。

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