ぶら~りネット探訪

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『ゲンスブールと女たち』を見た

ジョアン・スファール監督、エリック・エルモスニーノ主演の『ゲンスブールと女たち』を見ました。

この映画はおフランスの歌手、作曲家、作詞家であるセルジュ・ゲンスブールの生涯を描いた映画であります。ゲンスブールは1991年に亡くなっていて、今年は没後20周年だそうです。私はこの映画を見るまでゲンズブールだと思っていましたがゲンスブールが正しいのでしょうか?

ゲンスブールはむかし、『ロッキング・オン』でも取り上げられていたかことがあったり、中島らもがエッセイのネタにしていたので、名前だけは前から知っていました。娘のシャルロットのデビューアルバムをプロデュースした時期だったと思います。ゲンスブールの曲をちゃんと聞いたのはわりと最近です。まっ、ベスト盤しか聞いたことはないのですが。

セルジュ・ゲンスブールという名前を知らなくてもゲンスブールの曲を聞いたことがある人は日本でもけっこういると思います。フランス・ギャルへ提供した『夢見るシャンソン人形』はほぼリアルタイムでカバーされたり、CMにもよく使われたりしているので聞けば「あの曲か」と思う人は多いと思います。でもこの映画では『夢見るシャンソン人形』はかかりません。

監督のジョアン・スファールは元々、漫画家だそうで、この映画のオープニングタイトルはアニメーションになっています。これがまた不思議で独特な感じで、最近見た映画のオープニングタイトルでは一番印象に残っています。ゲンスブールはとにかくタバコを手放さない人で、映画のなかでも常にタバコを持っています。(バスタブの中でも)そんなことからオープニングタイトルでは海の中の魚もタバコを咥えています。

物語はゲンスブールが少年時代のナチス占領下のパリから始まります。少年時代はユダヤ人というゲンスブールの出自がかなりしつこく描かれます。しかし、映画の後半にではあまりこの辺の事は触れられていません。ゲンスブール少年が登場するシーンで歌っている歌はフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』です。

この映画の特徴はゲンスブールの心の中の、もう一人のゲンスブールが被り物というか着ぐるみのようなキャラクターによって具現化されて登場するところです。中の人はダグ・ジョーンズというアメリカの俳優で有名な人のようです。このキャラクターが火ダルマでギターを弾きながら踊るシーンは圧巻でした。

ジェーン・バーキンとの出会いによってゲンスブールは髪型やファッションがガラリと変わるところも面白かったですね。ジェーン・バーキンと出会う前のゲンスブールには無精髭はなく、割と小奇麗で無難な感じでした。ゲンスブールのこのイメージチェンジによってダグ・ジョーンズ演じるキャラクターは去っていきます。

ジェーン・バーキンと結婚する前はたブリジット・バルドーと付き合っていた(不倫関係)ゲンスブール。自分の息子がたブリジット・バルドーと付き合っていることを知って大喜びするゲンスブールの父親の姿も良かったですね。

ジャマイカでレゲエのミュージシャンをバックにレコーディングするシーンで、ディレクターかプロデューサーみたいな白人が「レゲエは神聖な音楽だから卑猥な歌を歌うのはやめてくれ」みたいな事を言うシーンはちょっとどうかと思いました。レゲエというば大麻というイメージがあるし、レゲエは民族音楽でも伝統音楽ではなくポピュラーミュージックでそんなに神聖なものではないですよね。元々はR&Bから派生したという説もあります。

レゲエのアレンジでフランス国歌、『ラ・マルセイエーズ』を歌っておフランスの右翼の怒りをかうシーンも面白かったですね。右翼がライブに押しかけると、ゲンスブールは、『ラ・マルセイエーズ』をアカペラで歌い、右翼は感激して涙を流す者までいたりしました。お洒落な国であるおフランスにも右翼はいるわけで、国歌を冒涜されたと怒るのも万国共通のようですね。しかし、『ラ・マルセイエーズ』の歌詞は血なまぐさい歌詞は強烈です。

ゲンスブールジェーン・バーキンの娘であるシャルロットもこの映画には登場しますが、残念ながら『レモン・インセスト』をデュエットするシーンはありません。

この映画の公式サイトには野宮真貴カヒミ・カリィといったその昔、渋谷系と言われたミュージシャンがコメントを寄せていいました。『レモン・インセスト』を改めて聞いてみるとカヒミ・カリィの歌い方はシャルロットに影響を受けているのに気がつきました。余談ですが、辛酸なめ子もコメントを寄せていました。

おフランスの映画なので、お高く止まっているような、一見とっつきにくそうな感じがしますが、特にゲンスブールやフレンチポップスに詳しくなくても十分に楽しめる映画でした。R-15になっていますが、それほどエロくありません。

ゲンスブールと女たち