ぶら~りネット探訪

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『ヒーローショー』を見た

井筒和幸監督の『ヒーローショー』を見ました。 TBSのアナウンサーの水野真裕美がこの映画を見た後に、恐怖のあまり、泣きながら母親に電話をかけたとTBSラジオ『Dig』で話していました。宇多丸大根仁もこの映画のことをお勧めしていましたが、水野真裕美のエピソードの方が強く印象に残っていました。 遊園地やデパートの屋上など行われるヒーローショーでバイトする若者たちの暴力の連鎖を描いた映画。主演はお笑い芸人のジャルジャルの二人。私はこの映画で初めてジャルジャルを見ました。ジャルジャルが漫才やコントをやっているところは見たことはありません。 ほとんど予備知識がない状態で見たのですが、ショベルカーで穴を掘り生き埋めにしょうとするあたりで2006年に起きた東大阪集団暴行殺人事件をモチーフにした映画だということに気がつきました。実際の事件をモチーフにした最近の映画では、どうしても『冷たい熱帯魚』を思い浮かべてしまいます。 『ヒーローショー』は無軌道な若者による無計画な殺人事件で、『冷たい熱帯魚』は中年夫婦による計画的で完全犯罪を狙った殺人事件で非常に対照的な関係になっています。『冷たい熱帯魚』を見た後はスッキリした気持ちになりましたが、『ヒーローショー』見た後はモヤモヤした、どうにもスッキリしない気持ちが残りました。実際の東大阪集団暴行殺人事件の裁判ではリーダー各の被告は死刑が確定しているそうです。埼玉愛犬家連続殺人事件の関根元と風間博子も死刑が確定しています。 既に色々な所で言われていますが、殺人事件が起こった後の展開は緊張感が薄れ、間延びした感じのままエンディングを迎えてしまった感じでした。タマフル井筒和幸監督が出演したときのポッドキャストを改めて聞いてみたら、後半以降の展開は意図的にああいった投げっぱなしというか中途半端な感じにしたと語っていました。 音楽の使い方などもかなり残念なのですが、前半の緊張感のある流れやジャルジャルの二人やその他の役者(若手の芸人が多いそうです)の演技はリアルというか生々しくて良かったですね。PSPを食べかけのラーメンの丼にツッコむシーンがショッキングでした。PSPとラーメンと言えば北野武の『アウトレイジ』でもそういったシーンがありましたが、『ヒーローショー』の方がショッキングでした。 ラストシーンに出てくる、福徳秀介のいつも乾シイタケばかり送ってくるタイ焼きを毎日焼いている母親の役が筒井真理子だったのが意外でした。筒井真理子はタイ焼きを焼いているオバサンにしてはキレイすぎます。しかし、井筒和幸監督の「オレはエロイ奴としか仕事をしない」というタマフルでの発言を聞いて納得しました。ヒロインのちすんも勿論エロかったです。 ラストシーンは富士山にピンク・レディーの『S・O・S』がかかります。正直、『S・O・S』を選曲した意図が最初はよく分からなかっのですが、これも歌詞を額面通り受け取っていいようです。 見る人を選ぶ映画のようで、レビューを見ると賛否がハッキリと分かれています。見終わった後に、後半の展開と明確なカタルシスが得られないのがその理由で、私もそのように思いますが、スッキリできないだけで駄作と簡単に言ってしまうのは勿体無い感じの映画です。でも傑作とか万人にお薦めできる映画でもないことも確かです。 ヒーローショー [DVD]
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