ぶら~りネット探訪

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『レバノン』を見た

2009年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した、サミュエル・マオス監督の『レバノン』を見ました。 この映画は1982年のイスラエルによるレバノン侵攻を描いた映画です。アリ・フォルマン監督の『戦場でワルツを』と同じ題材で、サミュエル・マオス監督もアリ・フォルマン監督も19歳でレバノン侵攻に従軍しています。 4人の兵士が戦車に乗り込むところから物語は始まり、兵士たちは最後まで戦車から出ることなく話は進んでいきます。戦車の外の世界は砲撃手が覗くスコープからの視点からしか描かれないというかなり特殊な映画です。 公式サイトには「『フルメタル・ジャケット』『プラトーン』『地獄の黙示録』…傑作戦争映画の歴史に、新たな伝説が刻まれた!!」という宣伝文句が書かれていましたが、正直そこまで凄い映画には感じませんでした。 前半は戦争の悲惨な現実を描かれている部分もありますが、それほど衝撃的なシーンはなく、中盤から後半にかけては戦車の中のシーンが多くなり、私は何度か睡魔に負けてしまいました。RPGを撃ちこまれて戦車が一時走行不能になるところは良かったですね。 私の中の勝手なイメージではイスラエル軍は世界の軍隊の中でも規律が厳しく、トップクラスの軍隊と思っていました。中東戦争では1度もアラブには負けていませんからね。しかし、この映画に出てくる戦車兵たちそんなイメージを見事に裏切ってくれました。そう言えばスピルバーグの『ミュンヘン』に登場するモサドもけっこうヘマばかりやっていました。 指揮官には全くリーダーシップはないし、チームワークも全くありません。勝手に水を飲んだりタバコを吸ったり、ヒゲを剃りはじめたり、全く勝手な連中で、その辺はある意味面白かったですね。小便を鉄の箱みたいなものにするシーンが何回かありました。大便をするシーンはさすがになかったのですが、戦車兵たちは大便の処理はどうするのでしょうかね? 途中で戦車には味方の兵士の死体を乗せたり、捕虜を乗せたり、捕虜の小便の世話をするシーンも妙なリアルさがありました。本物の戦争はただドカドカ鉄砲や大砲を撃ち合ったりするだけでなく、当然、死体の処理も排泄物の処理もしなくてはならないわけです。確かにこういったシーンは今までの戦争映画ではなかったかもしれませんね。 チームワークのかけらもない連中でもしょうもないエロ話でちょっとだけ和むシーンがあり、このシーンもなかなか良かったですね。男というのは極限の状態でもしょうもないエロ話で打ち解けてることができる生き物なんですよね。水木しげるの『総員玉砕せよ!』でもそんなシーンがありました。 誰もいない向日葵畑で始まり、向日葵畑にメルカバ(戦車)が止まっているシーンでこの映画は終わります。ラストシーンがなかなか良い絵になっていました。 レバノン [DVD]
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