ぶら~りネット探訪

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『勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉』を読んだ

押井守の『勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉』を読んでみました。 本の内容も表紙の西尾鉄也のイラストも前作からさらにパワーアップした感じで、かなりお面白い本で楽しめました。最近の押井守の映画よりも断然面白いですね。 押井守はこのシリーズで「映画監督評論」という新たなジャンルを確立したと言えます。このジャンルなら押井守は恐らく当分は負けることはないと思います。 国内外の映画監督を独自の勝敗理論に基づいて語りまくっています。勝敗理論は押井守が勝手に作ったものなので、多少の違和感もありますが、そんなことはどうでも良くなるくらい映画についての情報が詰まっています。 押井守の趣味、そして独断と偏見からくる視点と評価が盛りだくさんですが、逆にそこがこの本の面白さと言えます。例えば、ウディ・アレンキューブリックについては、かなり評価は低くなっています。ジョン・ウーはハリウッドに行って失敗したと言っています。逆に評論家や映画好きの人にはあまり評判がよくないエメリッヒやバーホーベンについての評価は高めだったりします。私もバーホーベンの『スターシップ・トゥルーパーズ』は大好きです。 海外監督の巨匠編は読む前は、馴染みの薄い監督ばかりなのでちょっとどうかと思ったのですが、読んでみたら、これも意外と面白かったですね。裏のテーマとして「映画監督と政治的迫害」、「赤狩りとハリウッド」みたいなものがあり、この部分が特に興味深いものがありました。赤狩り時代のアメリカやハリウッドについて描いた映画を見てみたくなりました。ちなみに押井守は転向してでもエリア・カザンのように映画を撮り続けたいと語っています。ロマン・ポランスキーのイラストには「巨匠で・・、ロリコンでオスカー受賞 他意はありません」と書かれていますけど、それって宮崎駿と一緒ですよね。 国内の映画監督で面白かったのは『おくりびと滝田洋二郎ですね。「ピンク映画も撮れば、アイドル映画も撮る、オスカーも撮る」というのが笑えます。私は滝田洋二郎の映画は内田裕也が主演した『コミック雑誌なんかいらない!』しか見たことがあません。 岡本喜八のところでATG映画にも少しだけ語っている部分があります。ATG映画は前衛的な作家性と女優の裸でウリだったと言っています。最近何本、ATG映画を見る機会がありまして、押井守の言うとおり前衛的で眠たくなるようなシーンと唐突な女優の裸が印象に残りました。女優の裸も前衛的というか芸術的な感じであまり実用的な裸ではありませんでした。 映画についてのトリビア押井守自身の映画についての裏話的な話題が非常に多いのもこの本の特徴です。押井守の『天使のたまご』を徳間書店ロジャー・コーマンに売ったところ、そこからさらに転売され、権利をどこにいったか分からなくなってしまったそうです。国内ではDVDが2001年に発売されたようです。押井守の『イノセンス』の祭のシーンはフェリーニの『サテリコン』が元ネタだそうです。 最終章では映画監督になる方法も語っています。それは映画以外の世界で有名になるという方法。そすればとりあえず1本は映画を撮れそうな。確かに80年代後半から現在まで日本映画ではお笑い芸人や歌手が映画を撮るという流れがあります。小田和正桑田佳祐も映画とっていましたね。最近は吉本の芸人撮ることが多いですね。結局、何本も撮り続けているのはビートたけしくらいですが。 水嶋ヒロはこの手法を小説で使って、大成功していますね。水嶋ヒロは小説がダメになったら、次は映画監督ですね。辻仁成は売れないロック歌手から小説家に転身し、最近はアントニオ猪木主演の映画を撮っていました。 勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉
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