ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

『エレクション~黒社会~』を見た

香港ノワール最前線、『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』に続いてジョニー・トーの『エレクション~黒社会~』を見ました。 この映画は香港マフィアの次期会長の選挙を巡るお話。伝統や年長者を敬い常に沈着冷静なサイモン・ヤム演じるロクと強引で荒っぽいレオン・カーフェイ演じるディーが会長の座を争うのですが、選挙は前半であっさり決着がつき、中盤は香港マフィアにとっての三種の神器のようなものである「竜頭棍」を巡る争い、後半は一件落着、ロクは会長の座に付きディーもロクに協力していくのですが・・・。 冒頭でレンゲを砕いて食べるシーンで、「これはイケルかも」と思ったのですが、私にはいま一つな映画に感じられました。 登場人物がやたらに多く、どちらがロクを推していて、どちらがディーを推しているのか前半から中盤にかけて非常に分かりにくく感じました。前半はマフィアの中の2つの派閥に警察も絡んでくるのですが、中盤以降、警察は全く登場しなくなってしまったのも不思議な感じでした。 「竜頭棍」を巡る争奪戦はアクションシーンが長く続くのですが、この辺もどうも登場人物の相関関係が分かりにくいためか、退屈に感じました。相手の若い衆を木の箱に詰めて山の上からゴロゴロ転がして落とすシーンはさすがに笑えました。 「竜頭棍」はマクガフィン的な扱いなので、その姿は画面には出てこないかと思っていたのですが、後でしっかりと画面に映っていたのも驚きました。 後半の組織の中が一見落ち着いたかのように見えて、また抗争が勃発するのではないかという緊張感のある雰囲気は面白かったと思います。そしてラストの展開には驚きました。ちょっとあのラストは全く読めませんでした。後味の悪いラストシーンに爽やかな香港ポップスが流れるというのも良かったと思います。 『エレクション~黒社会~』は『ツメダン』とは違い男気映画ではなく、権力を手にしょうとする対称的な2人の男の物語です。同じ系統の『アウトレイジ』とも毛色はかなり違います。でもサイモン・ヤム演じるロクというキャラクターは北野映画に出てきそうな感じもします。 サイモン・ヤムは『ツメダン』にも出ていて、どちらもマフィアのボスという役。しかし、『ツメダン』ではかなりエキセントリックな役で『エレクション』では常に沈着冷静な役、同じ役者が演じていたとは見ている時は全く分かりませんでした。この人はジョニー・トーの映画の常連で、ハリウッド映画にも出ているようですね。 『ツメダン』と『エレクション~黒社会~』の2本のジョニー・トーの監督作品を見たのですが、宇多丸さんがどうしてそんなにジョニー・トーを推すのかまだよく分かりません。こうなったら『エグザイル/絆』も見てみようかと思います。 エレクション~黒社会~ [DVD]
エレクション~黒社会~ [DVD]