ぶら~りネット探訪

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『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』を見た

宇多丸さんがオススメしていたジョニー・トー監督の『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』見ました。 映画を見た後に公式サイトを覗いてみたら、みうらじゅんのコメントが載っていました。「"男気映画(冷弾)"は生きる目的や死ぬ意味が幸せの裏側を支えていることを教えてくれる。」ちょっとみうらじゅんらしくない熱いコメントのような感じもしますが、田口トモロヲブロンソンズをやっていたことを考えると納得のコメントです。ちなみに「冷弾」は「ツメダン」とルビが振ってあります。『シベ超』みたいな感じですね。『シベ超』とは全く方向性が違う映画ですが。 マカオに住む娘の家族が惨殺された初老男コステロ(フランス人)が3人の殺し屋と娘の家族を惨殺した犯人、そしてその黒幕を追うという映画。確かにブロンソンの映画にありそうな話です。 香港とフランスの合作で主演のコステロ役はジョニー・アリディと言う人で、この人は歌手でもあり、「フランスのエルヴィス」とも言われるフランスのスターなんだそうです。「フランスのエルヴィス」で役名がコステロ、私はミュージシャンのエルヴィス・コステロを思い出してしまいました。 ジョニー・アリディが雇った3人の殺し屋に自分の作った料理を振舞いながら、絆を深めていくシーンが良かったですね。目隠しをして分解した拳銃を組み立てるのを競ったり、空に投げ上げた皿をジョニー・アリディが撃ち抜いたり、男気となんとも言えない微笑ましい感じのするいいシーンでした。新しい拳銃を試し撃ちするシーンで、4人の撃った弾で無人の自転車が走りだすシーンも良かったですね。 ジョニー・トーはアクションシーンに定評があるらしいのですが、月夜のキャンプ場での銃撃戦は正直、何をやっているのかよく分からなくて退屈でした。『インセプション』の雪山の銃撃戦と同じくらいの退屈さですね。そのためか、ゴミ捨て場での3人の殺し屋が討ち死にするシーンは完全に寝てしまいました。 この映画にはジョニー・アリディが昔、頭に銃弾を受け、その弾はまだ頭の中にあり、そのせいで記憶が消えていく病に犯されているという設定があります。中盤あたりまでは、この設定はあまり出てこないのですが、後半はこの設定がかなり物語上の重要な部分を占めていきます。はっきり書くとジョニー・アリディの記憶がほぼ完全になくなってしまうわけなんですが、そこからこの映画の真骨頂とも言えます。 クライマックスで主人公が身体的なハンデを背負って戦うというのはよくある展開ですが、記憶がなくなってしまうというのは凄いアイディアです。見方によってはかなり笑える展開とも言えます。でも、殺し屋の一人がジョニー・アリディの拳銃の銃身に仇の名前を書いてあげるシーンはグッときました。 私はこの映画を見たあとに落語の『粗忽の使者』という噺を思い出してしまいました。『粗忽の使者』は使者が伝えるべき口上を忘れて一大事になるという物語。この使者は口上どころか自分の言っていることも次々に忘れていくというトンデモナイ人物です。 『アウトレイジ』を見たばかりだったので、北野映画過激のような暴力描写を期待していのですが、そういったシーンはほとんどなく、ちょっと残念な面もありましたが、それなりに面白い映画だったと思います。