「
マイケル・ジャクソン、
小沢一郎ほぼ同一人物説」で有名な
西寺郷太の『
マイケル・ジャクソン』を読んでみました。
西寺郷太は音楽評論家や音楽ライターではなくミュージシャンです。ミュージシャンが他の特定のミュージシャンについて書いた本というのは私は初めて読みました。
近田春夫や
マーティ・フリードマンは歌
謡曲やJ-POPについてコラムを書いていますが、このような本はかなり珍しいと思います。
半部くらいは
タマフルの「
マイケル・ジャクソン、
小沢一郎ほぼ同一人物説」や「
小島慶子キラ☆キラ」で話していたことが元になっています。『
This is it』に関する部分と少年への
性的虐待疑惑の検証の部分が目新しい所だと思います。
文章として改めて
マイケル・ジャクソンさんの50年を振り返って見ると熱血スポコン漫画やドロドロした昼ドラや
ケータイ小説をたして、さらに濃縮したような感じがします。父親の
ジョセフ・ジャクソンや
モータウン・レコードの
ベリー・ゴーディは『
巨人の星』の
星一徹のように見えたりしました。まぁ「
ムーンウォーク養成ギブス」みたいなものは出てきませんが。
少年ジャンプのキーワードは「友情」「努力」「勝利」ですが、
マイケル・ジャクソンさんの場合は「友情」の代わりに「家族愛」あるいは「兄弟愛」になるのでしょうか。ジャクソンズには『ヴィクトリー』というアルバムもリリースしていますね。
最終章の「おわりに」で、世の中の人は彼(
マイケル・ジャクソンさん)に厳しすぎたのではないか?他のスター、
ローリング・ストーンズ、
ジェームス・ブラウン、
ガンズ・アンド・ローゼズであれば許されることも許されなかったと言うところには納得してしまいました。確かにスキャダルな部分も含めて魅力というスターやセレブはけっこういますね。
ストーンズや
アクセル・ローズなどは最近は大人しいですね。
エイミー・ワインハウスみたいな人もいますが。
西寺郷太は子供の頃から成長の過程を大衆が見ていて、それが「老婆心」のようなものになったことと、善人と思われていた人が「期待はずれ」の行動をときの世の中の落胆がバッシングにつながっているのではないかと書いています。最近では
タイガー・ウッズの愛人騒動を見ているとなんとなく納得できます。そう言えば
マイケル・ジャクソンさんが結婚した相手は2人とも白人女性で、
タイガー・ウッズの奥さんも白人、愛人も全部白人女性でしたね。
正直なところこの本はかなり偏った視点から書かれているように感じられ部分が少なくありません。しかし、その偏った視点はこの本の魅力だと思います。とにかく
マイケル・ジャクソンさんを賛美し、一点の曇りもない聖人のように書いています。非常に対照的にジャクソン家の他の兄弟の女性スキャンダルは事細かく書かれていて、笑えます。
マイケル・ジャクソンの結婚についてはほとんど触れられていません。
西寺郷太の独特の表現もこの本の面白い所だと思います。マドンナさんのプロフィールをざっくりと紹介するところでは、
19歳で歌手を目指し、約7000円だけを握りしめて故郷ミシガン州からニューユークへ「上京」、
と書かれています。ニューユークへは「上京」しないでしょう普通。確かラジオでもこの表現を使っていたような記憶があります。
デビュー当時の
ジャクソン・ファイブがテレビでパフォーマンする姿については、
兄弟5人が「中国雑技団」のごとく鍛え上げられた歌とダンスと演奏をみせる。
と書いています。私は思わずカンフー服を着て歌い踊る
ジャクソン・ファイブを想像してしまいました。
マイケル・ジャクソン (講談社現代新書)