ぶら~りネット探訪

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柳家喬太郎の『落語こてんパン』を読んだ

『文春ムック 今おもしろい落語家ベスト50』で堂々の1位になっていた柳家喬太郎の『落語こてんパン』を読んでみました。 柳家喬太郎というと創作話芸協会「SWA」に入っていたり、テレビに登場するときはほとんど新作をやっていたりするので、古典のイメージはあまりないのですが、この本は古典落語50席を様々なエピソードと絡めたエッセイ集になっています。 この本は落語の入門書としても非常に良く出来てた本だと思います。四季折々のネタや干支などテーマに沿ってネタを選んでるところが綺麗で面白いですね。堅苦しい解説や難しい芸談みたいなものではなく、解説的な所は素人には非常にわかり易いところが助かります。昔は誰が得意にしていネタか、あるいは今は誰が得意にしているネタかという話題や、元々の噺の起源はというトリビアな話題は非常勉強になります。 『らくだ』や『野晒し』については最後のサゲまできっちりと解説されています。この2つの噺は時間的な問題やサゲが現代の生活習慣や言葉とあまりにもかけ離れてしまったので、ほとんど最後まで演じられことはないそうです。私もなんとなくこの2つの噺のサゲは知っていましたが、改めてしっかりとした解説を読んでみると、落語の深さと現代で落語を演る、そしてそれを観る難しさみたいなものを感じました。それにしても『らくだ』のサゲに至る展開は凄まじいですな。一度でいいからサゲまで聞いてみたいですね。 『寝床』の所ではなぜか川柳川柳の『ジャズ息子』も紹介されていて、「とにかく名作、最高!」と書かれています。私も『ジャズ息子』を聞いたことがあります。確かに『寝床』からインスパイアされて『ジャズ息子』が作られていたような気がしますが、名作と言われとちょっと違和感があります。褒めすぎ。でも聞いて損はないと思います。 50席の中で私が聞いたことがある噺、知っている噺はだいたい3分の2くらいでした。この本で初めて知った噺で印象深かったのは『按摩の炬燵』、『転宅』、『心眼』です。『転宅』は泥棒を元義太夫の師匠だった女が煙に巻く噺。私は言葉ひとつで巧みに人の心を操ってしまうような噺が好きです。例えば『付き馬』のような噺とか。喬太郎は『転宅』から滑稽味を抜いたような事件は現代にもゴロゴロしているのではないかと書いています。 『按摩の炬燵』、『心眼』は盲人が主人公の噺。そのため現在では放送では演じることが出来ないと書かれています。『按摩の炬燵』は基本的に滑稽噺なのですが、『心眼』は重くて暗くて、ほとんど笑えない噺です。『心眼』は三遊亭圓朝の作だそうです。ちなみに『按摩の炬燵』と『心眼』は先代の桂文楽(ペヤングじゃないよ)の十八番だったそうです。 落語こてんパン
落語こてんパン