ウルトラマンのスーツアクターだった古谷敏が書いた本です。ウルトラセブンのアンヌ隊員役のひし美ゆり子『セブンセブンセブン わたしの恋人ウルトラセブン』という本がありました。スーツアクターで有名な人と言えばゴジラの薩摩剣八郎というもいますね。
古谷敏は寛寿郎の鞍馬天狗や宝田明のメロドラマに憧れて役者になろうと思ったそうです。東宝のニューフェイスに選ばれたはいいが、チョイ役ばかりの大部屋俳優だったそうな。そんなとき円谷プロで美術を担当していた成田亨に見出され、ウルトラマンのスーツアクターに抜擢されるところから、この本は始まります。
古谷敏はウルトラマの前にもウルトラQでケムール人やラゴンのスーツアクターとして出演しています。背が高く、手足が長く痩せているスタイルの良さが買われたようです。この本は写真も多く載っていて、当時の古谷さんのスーツ姿の写真を見ると手足が長くスタイルがいいのが分かります。ウルトラセブンや帰ってきたウルトラマンなどと比べると初代ウルトラマンの古谷敏のスタイルの良さは際立ちます。
スペシウム光線のポーズは自宅で三面鏡の前で300回も練習したそうです。ウルトラマンの腰を引いた前かがみのポーズは憧れていたジェームス・ディーンのポーズをヒントにしたそうです。ウルトラマンの顔のデザインは広隆寺の弥勒菩薩のアルカイックスマイルがモデルになっているとみうらじゅんが話していたことがありました。弥勒菩薩の顔でジェームス・ディーンのポーズという組み合わせがなんとも不思議ですね。
撮影は本当に大変で、生傷が絶えなかったり、撮影の合間に吐いてしまうことが多かったそうです。水の中へ入るシーンや火や火薬を大量に使うシーンは本当に恐怖を感じたそうです。最終回ではゾフィーの中にも入っていたそうですが、ゾフィーの分のギャラは貰っていなそうです。
古谷敏はウルトラセブンではウルトラ警備隊のアマギ隊員として出演しています。石井伊吉(毒蝮三太夫)とのエピソードもなかなか面白いものになっています。古谷敏は結婚式のときに石井伊吉に仲人をやってもらっています。
『ヤング720』と言うテレビ番組の取材で、インタビューをしたのが大沢悠里だったのが驚きです。このときの写真も載っていて大沢悠里はバニラ(怪獣)のキグルミを着ています。私はこの写真で大沢悠里の顔を初めてみました。
この本を書くにあたっては桜井浩子(ウルトラQの江戸川由利子、ウルトラマンのフジ・アキコ隊員)やひし美ゆり子のサポートがあったそうです、特にひし美ゆり子は何度も電話で催促されていたようです。
ウルトラマンになった男