園子温監督作品『愛のむきだし』を見ました。町山智浩さんが去年のナンバー1(洋画も邦画も含めて)に選んでいたので気になっていたのですが、この度、映画館で見ることが出来ました。この作品は既にDVD化されています。
この映画は上映時間が237分もあり、途中で休憩時間があります。しかし、それほど長さは感じさせないほどストーリーの展開が速く、内容も濃いものになっています。「過剰」、「詰め込みすぎ」、「やりすぎ」という言葉が似合う映画だと思います。最初に実話に基づいた話というテロップがでるのですが、いったいどこまでが実話なのか非常に気になりました。
西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラの演技も過剰でいいですね。西島隆弘、満島ひかりのアクションシーンもお金が余りかかっていないのに結構いい感じですね。西島隆弘のパンチラ盗撮シーンのアクションがバカバカしくて笑えます。安藤サクラは2世タレント(奥田瑛二と安藤和津の娘)とは思えない程の存在感と怪演ぶりが凄いです。彼女が登場するとシーンの空気が完全に変わってしまう感じでした。
宣伝文句にあるように基本的には純愛ストーリーだけど、純愛を取り巻くストーリーや設定が宗教、パンチラ盗撮、女装、レズ、勃起というところが普通の純愛モノとの違いです。この要素がこの映画の特徴であり面白い所です。
パンチラ盗撮のエピソードに結構な時間をかけたり、やたらスゴイ量の血飛沫が飛んだりするところもこの映画の面白い所で、バカな事を徹底的に真剣にやるというのは邦画ではほとんどないのですが、この映画はバカな事を徹底的に真剣にやっている感じがいいですね。安藤サクラが血溜まりでタバコの火を消すシーンも良かったですね。
西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ以外の役者も良かったですね。渡辺真起子も岩松了も過剰な感じで、渡部篤郎だけがちょっと抑えた感じで、その辺のコントラストも良かったと思います。
車で逃げる渡部篤郎を渡辺真起子が車で追うシーンも良かったですね。最後に車で体当たりして、渡部篤郎の車を大破させ海に落としてしまうのには大笑いしました。なんとか車から脱出した渡部篤郎を渡辺真起子は押し倒していました。デヴィッド・クローネンバーグの『クラッシュ』という映画を私は思い出しました。
社会学者の宮台真司が「ゼロ教会」の先生役でチラッと出ていたのが笑えました。エンドロールで古屋兎丸の名前があったので驚きました。何の役だったのでしょうか?そう言えば古屋兎丸は『自殺サークル』のコミカライズ版を描いていました。漫画は読んだのですが、映画は見ていません。
どうでもいい所ですがユウの3人の仲間で「先輩」と呼ばれている男が岩松了のAV会社に入るときに「先輩です」と紹介される所が笑えました。エンドロールでも確か役名は「先輩」になっていました。
愛のむきだし [DVD]