ぶら~りネット探訪

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酒井順子の『女流阿房列車』を読んだ

酒井順子という人の本を読むのは初めてです。『負け犬の遠吠え』を書いた人というくらいの認識しかありませんでした。女性が鉄道で無理な旅をする本ということで興味を持って読んでみました。 タイトルの「阿房列車」というのは内田百閒の鉄道旅行の紀行文『阿房列車シリーズ』にちなんでいるそうです。内田百閒の『阿房列車シリーズ』内田百閒も「鉄ちゃん」で「乗り鉄」だったようです。 女性と鉄道というと漫画『鉄子の旅』を私は思い出しました。『鉄子の旅』も詳しく読んだ事はないですが、この本は『鉄子の旅』の活字版と言う感じでしょうか。 そんな感じで読み進めていくと「秘境駅の女」が『鉄子の旅』との相互乗り企画になっていて酒井順子は『鉄子の旅』の菊池直恵横見浩彦と新潟の秘境の駅に出かけています。もちろん菊池直恵の漫画も載っています。 酒井順子は新潮社のT編集者がたてたスケジュールに従って(鉄道だけじゃないものものある)ひたすら、列車に乗り続けて旅を続けていきます。1日で東京の地下鉄を全て制覇したり、24時間各駅停車に載り続けて横浜から九州の八代まで行ったり、東海道新幹線の「こだま」を延々乗り繋いで博多まで行ったり。とにかく観光とはほとんど無縁のひたすら列車に乗りつづける旅が続きます。 T編集者の無茶なスケジュールをひたすらこなしていく酒井順子はゲームを次々にこなしていくようでもあります。規模や形態は違いますが、『電波少年』でやっていたヒッチハイクの旅を思い出しました。 酒井順子の文章は淡々している(列車の中でよく寝たりしています)のですが、読んでいると一緒に旅をしているような感じになり、列車がゴールに着くときには一緒に達成感や感動を味わっているような錯覚に陥りました。特に「膝栗毛の女」は途中のアクシデントで最後は逢坂山から京都の三条大橋まで徒歩になっています。さすがに最後に歩いて京都の三条大橋に辿り着くシーンはグッとくるものがあります。 「こだま号の女」では引退した新幹線の0系の車両にも乗車しています。日本の高度経済成長共に駆け抜けた0系と昭和という時代をオーバーラップさせ、さらに「0系じいさん」と擬人化した表現にも感動しました。各章のタイトルが「メトロの女」、「こだま号の女」、「スイッチバックの女」のような必ず「~の女」となっているのはサスペンスドラマのタイトルみたいで面白いですね。  私はそれほど鉄道や鉄道の旅が好きというわけではありませんが、この本を読んで鉄道の旅がしてみたくなりました。それも無茶な旅が。とりあえず東京の地下鉄を1日で制覇。やっぱりちょっと無理かな。東京メトロだけでも、いやまずは都営地下鉄からかな。 女流阿房列車
女流阿房列車