今年の初めに来日したジェフ・ベック。エリック・クラプトンとも共演したりしていました。
私は正直、ジェフ・ベックもエリック・クラプトンもそれほど興味はありません。そんな私がこのライブアルバムに興味を持ったのはベースがタル・ウィルケンフェルドだったからです。タル・ウィルケンフェルドはオーストラリア出身の23歳の女性。女性というよりも女の子と言った方がいいような感じのルックスです。
タル・ウィルケンフェルドはジェフ・ベックの来日時には「週刊アスキー」の山崎浩一のコラムのカットや「ロッキング・オン」の山本直樹の4コマ漫画のネタになっていました。
タル・ウィルケンフェルドのリーダーアルバム『トランスフォーメーション』を視聴してみたのですが、ありがちなフュージョンという感じでいまひとつでした。そこで、『ライヴ・ベック3』ではどんなものか聞いてみたわけです。
『Cause We've Ended As Lovers』での中盤からけっこう長いベースソロはちょっと地味な感じですがいい感じです。『You Never Know』ではイントロのスラップがイイですねぇ。この曲ではほとんどスラップで弾いていて、ジェフ・ベックのギターとジェイソン・リベイロのシンセがメインなのですが、きっちりと仕事をしているという感じがします。タル・ウィルケンフェルドのベース全体的に音が太くてブリブリ鳴っている感じです。歌声と顔のギャップの激しい歌手というのは割とよくいますが。楽器を演奏する人でルックスと出している音のギャップが激しい人は珍しいと思います。
ジェフ・ベックのギターもちろん凄いものがあります。とても65歳とは思えないほどの暴れっぷりです。(このライブが行われたのは2007年です) 不思議なことに私にはメロディーやリフもがほとんど頭に残りませんでした。ジミ・ヘンドリックスのライブ音源などを聞くと、インプロヴィゼーションが長く続いたりすることがありますがメロディーやリフは頭に残るのですが、このアルバムではそういうことはありませんでした。全曲インストルメンタルというせいなのか?
私がこのアルバムでジェフ・ベックやタル・ウィルケンフェルドの演奏以上に驚いたのはヴィニー・カリウタのドラムです。有名なドラマーらしいのですが私は今回初めてヴィニー・カリウタの演奏を聞きました。元々はフランク・ザッパスの元で修行していた人でスティング、スマップや中島みゆきの曲でも ドラムを叩いているそうです。とにかくうるさいというか落ち着きの無い感じで、ジェフ・ベックのギターに負けないくらい暴れています。
手数と言うかオカズの多いドラム、歌うようにドラムを叩いているような感じとも言えます。パワフルなドラム、独特の間を感じさせるドラマーというのは聞いたことがありますが こんなに手数が多い人は初めて聞きました。ただリズムキープだけなら機械でもできるけど、この人のドラムは機械では再現不能な自由さというか不規則を感じます。
ライブ・ベック3~ライブ・アット・ロニー・スコッツ・クラブ