漫画の『蟲師』の1巻を読んでみました。
この漫画はアニメになったり、大友克洋が監督して実写で映画化もされています。主演はオダギリジョーでした。
アニメは深夜というか日曜の早朝にやっていた記憶があります。1回だけ見たことがあります。実写版はほとんど話題にならなかったような気がします。私はこの漫画を読むまで作者が女性だとは知りませんでした。
この漫画に登場する蟲は昆虫や爬虫類といったものではなく精霊や妖怪みたいなものという設定だそうです。ということは主人公の蟲師のギンコは霊媒師みたいなものなのでしょうか?時代設定も江戸から明治の間とか鎖国を続けている日本など非常に特殊な感じになっています。
話の設定や展開やセリフ回しに独特なものがある漫画ですね。全くジャンルは違うけど士郎正宗の『攻殻機動隊』を初めて読んだ時に感じたショックというか違和感に似たものを感じました。何度も読み直すたびに新しい発見や味が出てくる感じします。物語とは全く別に、絵そのものに非常に魅力がある漫画ですね。
蟲は虫とは違うという設定だそうですが、『柔らかい角』に出てくる「阿」や「吽」は蝸牛(かたつむり)みたいな形をしていて、人間の耳に入った「吽」をギンコが塩水で溶かすシーンや「阿」や「吽」が屋根裏や洞窟に群れているシーンはちょっとグロい感じで良かったです。
『瞼の光』で目を患った少女の目から芋虫のような蟲が出てくるシーンもグロいですね。このシーンは映画の『マトリクス』を思い出した。
『枕小路』で予知夢に悩まされる男が、夢は枕を通ってやって来ることに気付いて枕を刀で切りつけると枕から血しぶきが出て、さらに自分の体が切れてしまうシーンもいいですね。「枕」の「魂の蔵」という説もフィクションとしてもよくできています。男を悩ます夢は実は予知夢ではなく蟲が男の夢を現実にしているという展開は、ちょっとありがちな展開でもあるのですが、まさに悪夢のような展開が非常に魅力的です。
描いたものに命が宿る、「神の筆(ひだりて)」を持つ少年とその祖母の話の『緑の座』や『旅をする沼』という話も面白いですね。沼が海を目指して旅をするという発想は凄いですね。海に出た沼は魚たちの餌になって豊漁をもたらすという落ちに凄い。
蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)