ぶら~りネット探訪

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山本小鉄と前田日明の『日本魂』を読んだ

元プロレスラーの山本小鉄前田日明の対談集です。不思議な本ですね。タイトルの『日本魂』というのもなんだか変に畏まった感じで奇妙な感じです。

欺瞞にまみれた現代日本について、伝統について、日本の未来について二人で語りまくるという内容のようです。

前田日明は政治、経済、社会について語りまくっているのですが、どうも何処かで既に語られているような内容ばかりで、なんだか受け売りという感じが否めません。世襲議員はみな無能、官僚は腐敗していて、教師はモラルが低下しているなんて話を今更改めて語られても全く新鮮味がありません。おまけに小泉構造改革に対する批判はほとんど小林よしのり劣化コピーに思えます。

前田は小林よしのりとのトラブルについても語っています。小林よしのりとの対談の後に小林よしのりのアシスタントと名乗る人物から、「小林よしのりの著作物をちゃんと読んでもっと勉強してから反論してください」というような内容の手紙が届いたそうです。

ビル・ゲイツは慈善活動に力を入れているから素晴らしいとか、アメリカ人の8割は日曜日には教会に行くので個人が他の人たちと家族を通して社会を形成していることを自然に意識できているというご意見には非常に疑問が残ります。

ビル・ゲイツマイクロソフトでの儲け方は昔から各方面から批判的な声があります。欧米で巨万の富を得た人が慈善活動をするのはある意味余興、悪く言えば贖罪的なもので、慈善活動だけにスポットライトを当てるのはビル・ゲイツの思う壺ですね。

アメリカで熱心に教会に行ったりする人たちというのは、キリスト教右派福音派の人たちで聖書をそのまま信じて進化論を否定したり妊娠中絶に反対する人たちです。アメリカにはこういう人が3割いて、ブッシュ政権をささえていました。

前田の発言で非常に興味深かったのは外国人の日本国籍の取得や参政権についてです。外国人で二世代、三世代と日本に生活し税金を納めたら無条件に国籍をとれるようにすればいいと前田は言っています。この本でもはっきりと言っていますが前田は在日韓国人三世です。

前田は在日について関東大震災や戦中戦後のことなどを色々と語っています。そして2002年の日韓ワールドカップのときの今上天皇の発言なども取り上げています。こういった前田の発言は非常に興味深いものがあります。できれば、もっと今の在日の問題や自分の差別体験などを語ってもらいたかったですね。自殺してしまった新井将敬についても前田はどう見ていたかも興味があります。

プロレスついての二人思い出話みたいなものは純粋に面白いですね。特にアントニオ猪木について全く遠慮なく悪口を言っている所はいい意味で笑えます。 また新日時代の前田のファイトマネーや新日の台所事情がけっこう赤裸々に語られている部分や小鉄さんの坂口征治に対する複雑な感情などが非常に面白いですね。

前田は2002年に猪木がエキジビションでタッキーと戦ったことを自分の青春を汚された言い、小鉄さんはハッスルを見て腹が立って、涙が出てきたと語っている部分も二人のプロレスに対する思いが出ていて良いですね。

最後の方で三沢光晴の死についても語っているのだけど、具体的な対策、現在のプロレスに対する提言みたいなものが出されていなかったは非常に残念です

日本魂
日本魂