ぶら~りネット探訪

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小林よしのりの『世論という悪夢』を読んだ

またしても小林よしのりの本のご紹介です。パチンコ騒動以来、小林よしのりに夢中です。『SAPIO』は図書館で読んでいます。 私は『ゴーマニズム宣言』が『SPA!』から『SAPIO』に移る時、急激に小林よしのりにた対する興味がなくなり、今年のパチンコ騒動まで、その著作物は全く読んでいませんでした。久しぶりに読んだ『ゴーマニズム宣言』は右翼のプロパガンダ漫画になっていて驚きました。完全に針が振り切れている感じですね。これはこれで非常に面白い。最近は「電波系」の本や「トンデモ本」を読むような感じで小林よしのりを楽しんでいます。具体的に言うと、雑誌の『ムー』やサンプラザ中野くんの本と同じような感じの楽しみ方ですね。 この本のテーマは「世論は感情的な世間の空気だから信用ならない。責任ある公的意見である輿論が大事」ということみたいです。また、新聞・テレビの情報操作に踊らされると言っています。責任ある公的意見である輿論というのもあまりにも漠然としすぎていて分かりません。なんだか、「小林よしのりの意見=輿論」みたいに感じられます。 チベット問題を取りあげていますが、これはただ中国を叩きたいだけのような気がします。チベット問題は1950年代から続いているのに北京オリンピックに関連付けて取り上げているのがちょっと苦しいですね。新疆ウイグル自治区やロシアのチェチェン紛争についても触れて欲しいところですね。ちなみにチェチェン紛争は今年解決したことになっていますね。 アイヌの問題でアイヌはそもそも民族なのかと小林よしのりは疑問に感じています。アイヌ問題を取り上げているのは鈴木宗男佐藤優さんに対する牽制の意味があるように感じられますが、この本では鈴木宗男についての言及はありません。アイヌ人に対する差別よりも黒人とのハーフの方が差別がきつかったのでないかと書いていますが、差別体験を比べるという発想が凄いですね。 日本の映画、漫画、アニメがどのように戦争を描いてきたかについて論じている章も面白いですね。70年代に戦争漫画やアニメは左翼の反戦運動のせいで消えていったと小林よしのりには書いていますが、かなり疑問ですね。70年代というとスポ根モノの全盛期だったり、赤塚不二夫の全盛期だったり、藤子不二雄の数々のヒット作が描かれたのもこの時代でとにかく漫画が多様化していったころですね。そんな時代に戦記モノの漫画が衰退していったのは時代の趨勢のように感じますね。 ガンダムエヴァンゲリオンについて小林よしのりは以下のように書いています。
戦争漫画のエッセンスは、ガンダムエヴァンゲリオンに引き継がれるけれども、ついに戦うことの動機付け悩むにナイーヴな(世間知らずで幼稚な)主人公に読者が共鳴するという戦後の反戦平和イデオロギーを背骨に染み込ませた作者・読者が 共に「戦う物語の解体に向かって頽楽するという哀れな迷路に嵌まっている。
これを読むと恐らく小林よしのりガンダムエヴァンゲリオンもそんなに深く見ていない気がします。少なくてもエヴァンゲリオンには反戦平和イデオロギーは感じたことはありません。 小林よしのりが描く戦争漫画が読んでみたいですね。ノンフィクションでもフィクションでもSFでも、なんでもいいです。小林よしのが物語として戦争をどのように描くのか非常に興味があります。 最後の天皇論のところで書かれている「万歳童貞」という言葉が強烈です。「万歳童貞」とは新年の一般参賀などで「天皇陛下万歳!」をしたことがないと人のことだそうだ。ある意味「踏み絵」的な言葉、あるいは「非国民」という言葉に似ているように感じます。このタイトルで漫画か新書を作って欲しいですね。(『万歳DT』というタイトルでみうらじゅんと対談をするのも可)余談ですが、けっこう一般参賀に行っている辛酸なめ子は万歳しているのでしょうか?気になるところです。 世論という悪夢 (小学館101新書)
世論という悪夢 (小学館101新書)