ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

『人間失格』を聞く

今年は太宰治の生誕100年だそうですね。そのせいか、古屋兎丸は『コミックバンチ』で漫画版の『人間失格』の連載をやっているみたいですね。私はまだ読んでいませんが。

お盆も過ぎて、夏休みも残りわずか。読書感想文の宿題でお悩みのあなたに朗報です。iTunes Storeでは太宰治の『人間失格』、『斜陽』、夏目漱石の『門』などがポッドキャストでただで聞けます。『人間失格』は全部聞くには5時間以上かかります。

人間失格』のポッドキャストのファイルにはアーティス名には「wis」と書いてあり、【朗読】声を便りに、声を頼りにとあるだけで誰が朗読しているのか、どこが提供しているのかといった細かい情報は全く分かりません。朗読しているのは女性です。テンポも発音もしっかりしています。そして適度に演技というか台詞の部分は脚色されているところも良いですね。

今回、私は全部、しっかりと聞いてはいません。とりあえず眠る前にざっと全てのファイルは聞いてみましたが、途中で眠ってしまったりもしました。以前もこのブログで、『人間失格』については感想をチラッと書いたことがあるのですが、基本的にはその時の感想とあまり変わりはありません。

「読むと鬱になる小説」とよく言われたりしていますが、私は特に鬱になるようなことはありません。主人公の葉蔵が女で身を持ち崩していく様子は、よく出来たエンターティメントだと思います。昔、太宰治の小説の登場人物や太宰治の小説にかぶれる人を「万年思春期症候群」とい揶揄されていたような記憶があります。今なら「中二病」とでも言われるのでしょうか?

この小説には主人公の葉蔵の周りに色々なタイプの女性が現れますが、私は最初にこの小説を読んだときから薬局の奥さんが強く印象に残っています。喀血した葉蔵が駆け込んだ薬局の奥さんは、親身になって薬をあれこれ選び、最後にモルヒネまで渡してくれます。この時代には薬局にモルヒネ売っていたのですね。ポッドキャストで聞き直すまでヒロポンだと勘違いしていました。

この薬局の奥さん小児麻痺で足が悪く松葉杖をついていて、夫を病気で亡くし、息子は医大生だけど夫と同じ病気で入院中、家には舅が中風で寝ているという不幸のどん底。この奥さんは葉蔵に一目惚れしています。そして、モルヒネが手放さなくなった葉蔵とは関係してしまいます。葉蔵も酷いけど、薬を間にして関係してしまう奥さんのだらしなさが切ないですね。

余談ですが、奥さんが色々と薬を出してくれるシーンはスネークマンショーのコント、「これ何ですが?」を思い出しました。