ぶら~りネット探訪

音楽、競馬、映画などについて非常にテキトーにダラダラと綴っていくブログでございますですよ。

鈴木邦男の『愛国と米国』を読んだ

鈴木邦男新右翼の論客で、一水会を設立し、現在は顧問をやっているそうです。 プロレス好きでも知られる人で、昔は佐山聡との対談などもしたり、UWFについて語っていたりしました。90年代には「朝まで生テレビ」にもよく出ていましたが、今はどうなんでしょうか?私は最近全く「朝まで生テレビ」は見ていないので分かりません。 戦中生まれ(1943年)である鈴木邦男アメリカと日本の関係について、色々な文献を読んだり、北朝鮮イラクに行ったり、自分の青春時代を振り返ったりしながら考えた本になっています。 もし鈴木邦男についてよく知らない人が読んだら、「反日的だ!」とか「自虐史観に騙されている」とか言い出しそうな気がします。特に、日独伊三国同盟から日米開戦前夜について書かれていることは衝撃的で面白いですね。特になぜナチス・ドイツと同盟を結んだのはナチスの仕掛けた思想戦、プロパガンダに負けてしまったからだと書かれています。また、海軍はナチスのハニートラップ(ドイツに女をあてがわれて)で篭絡されていたそうだ。(この部分は半藤一利の本から引用) 日米開戦前夜についても鈴木邦男はかなり厳しい見方をしています。「精神の国である日本が、物質の国であるアメリカを倒す」という空気が日本中を覆い開戦に慎重な山本五十六は命を狙われ、昭和天皇まで身の危険を感じ、開戦に反対できなかったと書いています。そして東条英機は「清水の舞台から飛び降りる覚悟で」、具体的な勝利のプランがないまま戦争を始めたそうです。 日米開戦に唯一反対した右翼、赤尾敏の話が面白いですね。私は数寄屋橋で毎日演説してる人、あるいは選挙には毎回出ていた人という事くらいしか知りませんでした。赤尾敏はある意味「空気を読まない人」だったのかもしれませが、こういった人を排除した当時の日本の指導者たちの方が世界を読めなかったわけです。 赤尾敏共産党宮本顕治を「敵ながらアッパレ」と認めていたそうです。 鈴木邦男は母親が右翼系の宗教「生長の家」に入っていたことから、中学生くらいからなんとなく右翼的な思想に目覚めていったそうですが、1960年に登場したケネディ大統領には熱狂していたそうで、ケネディ大統領の演説集を買って何度も読んだそうだ。大学時代は安保闘争学生運動が激しいときで、左翼の学生と戦っていたそうだ。 小田実の『何でも見てやろう』とミッキー安川の『ふうらい坊留学記』が紹介されていたのも面白かったですね。この二人の本は鈴木邦男アメリカに対する見方を変えたそうです。私にはミッキー安川と言うと、なんだかよく分からないけど偉そうな人というイメージしかありませんでした。吉田豪がちょっと前に『コラムの花道』で取り上げていたので、そのときミッキー安川がどんな人かなんとなく分かりました。 鈴木邦男兵頭二十八のように北朝鮮の外交については一定の評価をしています。しかし、日本の核武装については反対しています。石原慎太郎も外交は北朝鮮学べと「週刊ポスト」に書いていましたが、鈴木邦男兵頭二十八に比べると洒落で書いてるような感じでした。 この本で一番衝撃的だったのは、鈴木邦男はコーラを飲んだことやディズニーランドに行ったことを右翼の仲間話したら、自己批判をさせられたエピソードです。一水会は反米という立場なのですが、右翼ってそんなに厳しいものなんですね。ちなみ左翼にもそういう部分があるそうです。 愛国と米国―日本人はアメリカを愛せるのか (平凡社新書)
愛国と米国―日本人はアメリカを愛せるのか (平凡社新書)