ぶら~りネット探訪

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唐沢なをきの『漫画家超残酷物語』を読んだ

唐沢なをきの『漫画家超残酷物語』を読んでみました。この漫画は永島慎二の『漫画家残酷物語』のパロディなそうなのですが、私は永島慎二の『漫画家残酷物語』は読んだことがありません。しかし、特に永島慎二の『漫画家残酷物語』を知らなくても楽しめました。 唐沢なをきの漫画は『電脳なをさん』のような既存の漫画のパロディみたいな作品が多いのですが、『漫画家超残酷物語』は漫画家あるいは漫画業界自体のパロディというかメタ・フィクションになっています。「あとがき」ではこの漫画に登場する漫画家、編集者、読者は架空のものとなっていますが、ノンフィクションの部分もかなりあるのではないかと思います。 漫画家と編集者、漫画とアシスタント、漫画家と読者、漫画とその家族に関する短編が24本収録されています。基本的にギャグ漫画なので笑えますが、唐沢なをきのいつもの調子なので下ネタがやたら出てきます。相変わらずのしょうもないギャグが展開されていますが、ある意味、漫画業界の暗部みたいなものを暴露した漫画とも言えます。そんな感じなのですが、妙な爽快感というか感動を覚える作品もあったりします。 コミケのためにアシスタントが消えてしまって何年かぶり一人で漫画を描くはめになってしまった漫画家の話と、生活のため普通のギャグ漫画からエロ漫画に転向し、年頃の娘に嫌われてしまう漫画家の話は特にグッとくるものがありました。父の死後、娘は父を理解し、結局、娘も血は争えず「背徳三国志」というヤオイ同人誌を描くというオチがまた笑えるというか泣かせます。 毎月、一人の漫画家に50通のファンレターを書いたり、ストーカーのように漫画家の自宅を特定したりする読者の話は、吾妻ひでおの『逃亡日記』に出てくる吾妻ひでおのファンを思い出しました。天才小学生漫画家の話は今は亡き中尊寺ゆつこを思い出したりしました。 連載が突然打ち切りになり、坂道を転げ落ちる漫画家の話の最後は突然、日野日出志のパロディになっています。これはパロディ、ギャグとは分かっているのですが、けっこう後味の悪いものがあります。 どうでもいいのですが、全ての話に名前だけ出てくる「乳首たちのすけ」という漫画家が非常に気になります。おそらく、手塚治虫的な存在の漫画家だと思われるのですが、姿は全く出てきません。マクガフィンみたいなものだと思うのですが、妙に気になります。 漫画家自身が漫画家をネタにする漫画としては藤子不二雄Aの「まんが道」が有名ですが、もちろんトキワ荘ネタや藤子不二雄を思わせる話もあったりします。 漫画家超残酷物語 (ビッグコミックススペシャル)
漫画家超残酷物語 (ビッグコミックススペシャル)