「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 16 オデッサ編・後」を読んでみました。
この巻の表紙はマ・クベとギャンになつています。この表紙を見て、オデッサ編でギャンというのは少々違和感がありました。読んでみると違和感はもっと大きくなりました。
この巻はエピソードを詰め込め過ぎた感じがします。ガンダム対シャア・ザク、ガンダム対黒い三連星の決着戦、オデッサ作戦、オデッサ作戦でのマ・クベ核攻撃とその失敗、そしてマ・クベの最後。詰め込み過ぎで1つ1つのエピソードが軽く扱われている感じがします。ガンダム対シャア・ザクの話しはあまり必要ないような気がします。ガンダムにザクの首を落され、救援に来たマリガンのドダイYSの上にシャアが飛び乗るシーンが凄い!エピソードが盛りだくさんのため、こんな感じのご都合主義な展開がこの巻にはけっこうあります。
黒い三連星の決着戦ではガイアとオルテガのドムの他に6機のドムがあっけなくガンダム1機に撃破されています。黒い三連星の扱いが映画版よりもさらに軽くなったような気さえします。開戦編やルウム編では丁寧に描かれていたキャラクターだったのに、この扱いはかなりもったいない。
オデッサ作戦はエルラン中将とジュダック中佐がマ・クベと内通していることが発覚したり、マ・クベの核ミサイルによる攻撃があったりとTV版に近い話になっています。核ミサイルはザクレロみたいな爆撃機から発射されるのですが、マ・クベからは通告はなく、アムロはニュータイプの能力で危険を察知し、ミサイルの核弾頭を切り離すことに成功します。これは、かなりご都合主義な展開で呆れていしまいました。
マ・クベは部下や残存兵力を宇宙に逃がす時間稼ぎをするために、自らギャンに乗り後退戦を戦います。オデッサで敗れた場合は地球の主要都市に弾道ミサイルを撃ち込めという指示を「ジオニズムの理想なぞ、私にとっては白磁一個にも値しないのだよ」と言って無視するシーンはマ・クベらしく素敵です。しかし、連邦の艦隊を道連れにギャンで自爆してしまうのはどうしてもいただけません。潔いマ・クベなんてマ・クベらしくないですね。黒い三連星もマ・クベも犬死にしか見えません。
機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 16 オデッサ編・後 (角川コミックス・エース 80-19)