ぶら~りネット探訪

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「政党が操る選挙報道」を読んだ

鈴木哲夫著「政党が操る選挙報道」を読んでみました。 この本は2005年の郵政選挙での自民党世耕弘成を中心とするコミ戦の活躍と日本におけるコミ戦の変遷とマスコミとコミ戦の関係を描いた本です。 コミ戦とはコミュニケーション戦略の略でこの本では政党がマスメディアを通じ発信される政党の情報を一元的にコントロールし、情報操作と危機管理を行うのことだそうだ。政党の広報のようなものだけど、従来の広報とは違い民間の広告代理店(電通ではない)とともに細かい情報収集とその分析から情報操作と危機管理を行うそうだ。 2005年の郵政選挙はチーム世耕のコミ戦が大きく自民党の歴史的大勝に貢献したと言われています。でも、具体的な事例としては片山さつきに「(静岡)に骨を埋めます。戸籍も移しました」と言わせ、佐藤ゆかりには「岐阜に嫁ぐつもりでやって来ました」と言わせたことと、選挙速報の特番に出演する自民党の幹部に「笑顔を見せるな」と徹底したことぐらいで、特別な仕掛けがあったとは私には思えません。郵政選挙はコミ戦の大成功だったし言うよりも小泉純一郎のパーソナリティと変則的な解散によるところが大きいと思いますね。 絵になるモノや視聴率の稼げるものを常に追うテレビは小泉純一郎と飯島秘書にいいように釣られた感じがします。この本の著者は長年テレビの製作に携わってきた人のため、郵政選挙小泉純一郎とコミ戦に釣られた事に対する悔しさが非常にストレート現れています。また、釣られたというを未だに認めず、常に公正にテレビは伝えてきたというテレビ製作者の声も伝えています。 世耕弘成自民党内あるいは総理官邸内でのコミ戦チームを常設していくことを考えていたようですが、安倍内閣では全く機能していなかったようですね。ちょっとでも機能していたら閣僚の失言の連発や疑惑に対する対応はもう少し変わったのではないかと思います。今年の7月の参議院選挙の自民党の大敗もコミ戦の力でもう少し何とかなったのではないでしょうか。 正直、私はこの本を読む前は郵政選挙ではもっと何か強力な仕掛けがあったのかと思ったのですが、あまりたいしたことがなかったのでがっかりしました。と言うか日本には総理大臣のスピーチライターもいないという現実に驚かされました。国会での答弁などは官僚が書いているのでしょうが、記者会見などではどうもかなり生っぽいことを話しいる感じですね。閣僚の失言が何度も繰り返されることを考えるとスピーチライターみたいなブレーンは最低限必要なんじゃないかと思います。 政党が操る選挙報道 (集英社新書)
政党が操る選挙報道 (集英社新書)