ぶら~りネット探訪

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「阪神タイガースの正体」を読んだ

井上章一の「阪神タイガースの正体」読んでみました。この本は2001年4月に出版された本です。 私は阪神タイガースのファンではありません。村上ファンドによる阪神電鉄株の買占め騒動があったり、井上章一の描く阪神タイガースはどんなものかと思い読んでいました。 この本は井上章一阪神タイガースへの熱い思いを語る本ではなく、日本プロ野球の創世記から阪神タイガースあるいは在阪球団の歴史を振返り、阪神タイガースという球団の正体に迫ってみようと本です。特定の選手をクローズアップしたりすることはあまりなく、実際の野球そのものよりも観客動員の推移や日本のプロ野球の中の阪神タイガースの位置づけ、阪神タイガースを取り巻くファンの視点などに重点を置いた内容になっています。 実は阪神タイガースは70年代くらいまでは在阪球団の1つにしかすぎなかったこと。2リーグ分裂の際に在阪電鉄系の他の球団を裏切っていたこと、「六甲おろし」が1985年の優勝のときから全国的に広まり始めたことなど、阪神ファンじゃない私には「へぇー」と思うことばかりでした。 80年代以降の現在の阪神の全国的な人気とは朝日放送中村鋭一吉本興業などによるメディアミックスによる宣伝効果がかなり効いているのだこの本を読んで改めて感じました。 ファミスタの「レールウェイズ」や水島新司についても取り上げている部分がなかなか私は嬉しく思いました。「ドカベン」の岩鬼のモデルが藤村登美男だそうだ。藤村登美男という選手は私は名前しかしらないのですが、岩鬼にもモデルがいたというのには驚きでした。 非常に冷静に阪神タイガースの歴史を探り、その正体に迫っている井上章一ですが、1つだけ感情的になる部分があります。それは、1973年のセリーグの優勝のかかった試合に登板する江夏に球団首脳陣が「優勝したら金がかかるから勝たないでくれ」と言ったとされるエピソードです。この話は私も雑誌などの江夏のインタビューで何度か読んだことがあり、実話だと思っていました。しかし、「江夏が青春だった」井上章一には簡単に認めることができず、江夏にリラックスして投げて欲しいために「負けてもいい」と言ったとか、後に阪神からトレードで南海に出された江夏の恨みによる作り話だと言ってみたり、さすがの井上章一もかなり混乱しています。どうせなら江夏に直接聞いてみたら良かったとも思うのですが、「江夏が青春だった」井上章一がそんなことを聞けるとは、ちょっと思えませんね。それにしてもブラックソックス事件の「嘘だと言ってよ、ジョー」みたいで、私はこの部分がこの本の中で一番好きです。 阪神タイガースは85年以降も2003年、2005年と優勝し、80年代の「ダメ虎」の印象も薄くなりつつあります。しかし、球団フロントや親会社の脇の甘さは2リーグ分裂のときからあまり変化がないような気がします。村上ファンドに狙われたのそのへんなのでしょう。しかし、なぜか神風がふき阪神電鉄阪神タイガースも何とかなってしまう。今回も村上世彰の逮捕で何とかなってしまうような気がします。 阪神タイガースの正体
阪神タイガースの正体