ぶら~りネット探訪

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『名馬を読む2』を読んだ

江面弘也の『名馬を読む2』を読んでみました。ちなみに『名馬を読む』は読んでいません。 『名馬を読む』は顕彰馬になった馬を取り上げていて、『名馬を読む2』はそこからもれた名馬を扱っています。トウメイ、テンメイの親子、タニノムーティエくらいからシンボリクリスエスヴィクトワールピサまで、年代的には1960年代から現在までの名馬が登場します。 この本の特徴は馬、騎手、調教師などの厩舎関係者だけでなく馬主、生産者(牧場)を含めた情報が書かれているところです。著者の江面弘也についての知識は全くありませんでした。最初はスポーツ紙の記者かなと思っていたらJRAの機関広報誌『優駿』の編集に携わていた人でした。別冊宝島の競馬読本シリーズばかり読んでいたので、しっかりしたデータや取材に基づいた本を読むと新鮮な感じがします。競馬読本シリーズは面白かったのですがライターの主観や思い込みで書かれたものが多かった印象があります。 タニノムーティエタニノチカラの兄弟についての部分では馬主の谷水信夫と谷水雄三の親子についてもかなりくわしく書かれています。町工場を経営していた谷水信夫はポン菓子を作るポン器という器械で大成功。馬主になって最初にもったアラブの名前も「ポンキ」だったそうな。谷水信夫は旅館、映画館、パチンコ屋と事業を拡大し、さらにホテル、ゴルフ場の経営へと移り、カントリー牧場まで作りサラブレッドの生産まで始めてしまう。ダービー馬のタニノハローモアタニノムーティエ天皇賞馬のタニノチカラを短期間に輩出。しかし谷水信夫は1971年に交通事故により急死。事業をついだ息子の雄三は競馬にはそれほど興味がなかったもののタニノチカラの活躍に刺激されて馬主をつづけることなる。それがタニノギムレットウオッカに繋がっていたそうな。 池江泰郎元調教師と言えば代表的な管理馬はもちろんディープインパクトで、息子の池江泰寿調教師も含めて社台、ノーザンファームとの結びつきが強い印象がありますが、社台の馬で初めて重賞を勝ったのは1998年のステイゴールド目黒記念だったそうな。確かに1990年代前半の池江泰郎厩舎の活躍馬と言えばメジロデュレンメジロマックイーンと言ったメジロ牧場の馬が多かったですね。池江泰郎は師匠は浅見国一浅見国一は社台関連の馬は管理していなかったそうな。浅見国一の息子、浅見秀一ノーザンファームの生産馬レインボーラインで2018年の春の天皇賞を勝っています。そしてレインボーラインステイゴールドの産駒。 この本の裏のテーマは競走馬をめぐる人と人の繋がりなのかもしれません。スーパークリーク菊花賞出走をめぐる岡田繁幸によるマイネルフリッセの出走回避は美談として語られる面が多いのですが、マイネルフリッセを管理していた中村均調教師と岡田繁幸は関係が悪くなったていたそうな。それもマイネルマックスが活躍するのころには修復されることになるわけですが。 今年はダービーを生で観戦することができません。もしかしたら、秋競馬も生で見ることもできないかもしれない。競馬が正常な状態に戻るときまで生き延びたい。 名馬を読む2 - 江面 弘也
名馬を読む2 - 江面 弘也