ぶら~りネット探訪

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『この世界の片隅に』を見た

片渕須直監督、のん(aka能年玲奈)主演のアニメ映画『この世界の片隅に』を見ました。

この世界の片隅に』はこうの史代の漫画が原作です。物語は昭和の初期から始まり、主人公の浦野すずの広島での少女時代から呉の北條家嫁いで終戦の一年後くらいまでが描かれています。

私は2011年に日本テレビ終戦記念ドラマスペシャルで実写ドラマ化されたのを見てこの漫画の存在を知り、原作漫画も読んでいます。『FAKE』をユーロスペースに見に行った時に予告を見ました。そのときはまだ主人公すずの声を誰が演じるかは発表されていませんでした。『君の名は、』見た時の予告ですずの声がのん(aka能年玲奈)であることを知りました。

予告を見た段階では片渕須直監督がの経歴などは全く知らなかったので正直、このアニメ映画化については心配でした。実際に出来上がった映画を見たらそんな予想を上回る出来に驚きました。

原作漫画の重要なエッセンスをアニメに活かしていることはもちろんですが、ただ原作のストーリーをなぞるだけでなく片渕須直監督の独自の解釈やアニメならでは表現が随所に散りばめられている所がアニメ映画化成功の原因だと思います。

後半の戦火がすずの日常に押し寄せて来るところは映画でなくては体験できないものばかりでした。特にアメリカ軍による空襲のシーンでの音響の臨場感には凄まじいものがありました。すずが初めて空襲を体験したときの絵の具を紙にぶちまけたような画面にも驚きました。この映画はDVDやブルーレイで見るよりも劇場版で見たほうがいいです。

映画の三分の二くらいはすずの日常シーンで戦争中でも重苦しいシーンの連続ということは全く無く、原作どおりに笑えるシーンが満載でした。すずの実の兄を主人公にして描いた『鬼イチヤン』という漫画もしっかりと出てきました。近所の人たちとのエピソードのシーンの後ろではコトリンゴが『隣組』を歌っていました。

白木リンのエピソードはかなり短くなっていてちょっと残念と思って見ていたんですが、普通のエンドロールが終わったあとにクラウドファンディングに出資してくれた人のエンドロールがあり、そこで白木リン周作とすずのエピソードが簡単な形なのですが描かれていました。あれは原作を読んでいないと全く意味がわからないと思います。

コトリンゴは『悲しくてやりきれない』や主題歌の『みぎてのうた』だけでなくサウンドトラックも担当していました。『悲しくてやりきれない』と『みぎてのうた』は非常に印象的だったのですがサントラはほとんど印象に残りませんでした。

のん(aka能年玲奈)の声優としての仕事も良かったと思いました。『あまちゃん』では東北訛りでしたがこの映画では広島弁でした。町山智浩は本名を使えなくなってしまったのん(aka能年玲奈)を『千と千尋の神隠し』と言っていましたが、絵を描くことが好きだったすずが右手を奪われてしまうところは芸能界から干されしまったのん(aka能年玲奈)自身の境遇ともある意味重なるような気がしました。のん(aka能年玲奈)は『婦人公論』2016年11月22日号の表紙に登場しインタビューも掲載されていました。

この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック