森達也監督の佐村河内守をモチーフにしたドキュメンタリー映画『FAKE』を見ました。
私がこの映画を見たのは渋谷のユーロスペースです。ユーロスペースでドキュメンタリー映画といえば『ゆきゆきて、神軍』を思い出します。確か『ゆきゆきて、神軍』はユーロスペースの興行記録を持っていたような記録があります。私が『FAKE』を見たときほぼ満員でした。
宣伝文句の「衝撃のラスト12分間」はそんなに衝撃的ではありませんでした。しかし、最後に森達也の問いかけに対して佐村河内守が何も答えず映画が終わってしまう所にモヤモヤを感じました。クリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の『インセプション』のラストのモヤモヤに近いですかね。コマは回り続けたのか止まったのか。
カメラは基本的に佐村河内守とその妻、そして猫の日常を淡々と追っていきます。劇的な瞬間はほとんどありません。たまにフジテレビの番組製作者や海外のメディアなどが訪ねてきます。
食事の前に佐村河内守が豆乳をガブ飲みするシーンやテレビのバラエティー番組でイジられたり雑誌のグラビアに登場した新垣隆の姿が映るシーンでも笑いが起きていました。佐村河内守が飼っている猫の可愛さと来客に振る舞われるケーキにも注目してしまいました。
佐村河内守と森達也はマンションのベランダでタバコを吸うのですが、すぐ下には鉄道の線路があり電車がけっこうな騒音をたてながら頻繁に通過していきます。
この映画の感想をネットで見たりすると一転して新垣隆と神山典士に対して批判的なことを書いているものをチラホラ見ることができます。この手の人はベッキーや舛添要一を許せないと思ったりする人なんじゃないかと思います。マスコミや最近ではネットで「この人は悪い人」と教えられた素直にそのまま信じてしまう人はけっこういますよね。そんな人が「マスゴミは信じられない」なんて言っていたりします。
この映画で森達也が言いたいのは「誰が良い人で誰が悪人か」とか「真実や事実はこれだ」と言う事ではなく、「世の中には真実も事実もたくさんあるし、物の見方、見え方もたくさんある」と言う事ではないかと思います。
公式サイトには水道橋博士、プチ鹿島、岡村靖幸、藤原ヒロシといった人がコメントを寄せています。西寺郷太もコメントもありましたが、自分の小説の宣伝にしか見えません。ちなみに初代タイガーマスクの佐山サトルが書いた暴露本『ケーフェイ』はFAKEのアナグラムです。